揚げパンの地縛霊
給食の揚げパンやパン屋さんのあんドーナツにまぶされた、たっぷりの砂糖。
小麦色と白という地味とも言える配色なのに、なぜあんなにも魅力的なのだろう。そう思うくらい、あのビジュアルに食指を動かされてしまう。
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口の周りにつくのが嫌という声も聞いたことがあるが、私は全く構わない。
と言いつつ真正面に人がいたら気まずい。もしかすると、1人で誰の目も気にせず食べるのが揚げパン類を最も美味しく味わえるのかもしれない。複数人なら横並びがいい。ついでに言うと、食事内容にかかわらず対面よりは横並びのほうが安心できたりするのだが、趣旨とずれるので広げないことにする。
コッペパンを揚げた王道の揚げパンはパン屋さんでも時々置いているらしいが、もっぱら給食のイメージが強い。
たまにしか登場しないこの回をどれだけ楽しみにしていたことだろう。それを物語るように、人生でラストの給食揚げパンを早退で逃してしまったことを未だに悔しく思っている。
そのため給食とは綺麗にお別れできていない感じがあり、幽霊もこんな感じで現世に残るのかな……などと思うのだった(たぶん違う)。
そういえば私の学校では揚げパンと言えば砂糖のみだったが、きな粉をまぶすところもあるそうで。
きな粉と砂糖をまぶしたお餅が好きだから、きっとこれもハマるんだろうなあと思う。あとちょっと健康な感じがするよね。大豆だから。
きな粉揚げパンは給食以外で手に入れる難易度がさらに上がりそうな気がする。しかし、だからといって作るという選択肢はない。揚げ物って後片付けが大変そうだし、自らの手で炭水化物を揚げて大量の砂糖を盛大にまぶすという所業を遂行する精神力は持ち合わせていない。それなら油処理のほうがずっと楽だ(?)。
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パン屋さんではまず選ばないものの、実は食べたいと思っているパンの一つがあんドーナツである。理由は単純に揚げているから(他者に遂行してもらってもダメらしい)。
当然ながら、あんぱんとは違う魅力があんドーナツにはある。
ふわふわとした甘めのドーナツ生地にこっくりとしたあんこ、そしてザリザリとした表面の砂糖……。配分や揚げかたが上手であることは前提だが、それぞれが甘みを持ちながらもそのベクトルや度合いが違うので、甘ったるさを感じないのだ。
あんドーナツを買うのはなかなかの勇気を必要とするため、3年ほど前に買ったときのことを今でも覚えている。なお、それ以降再チャレンジはできていない。美味しかったのに残念な話である。
スーパーの菓子パンコーナーにもあんドーナツはたいてい置いてあり、新商品としても登場しがち。それらにも毎回惹かれながら、それでも買えずにいる。
しばらくその場に立ち尽くし、そのまま去っていく人がいたら、それは私かもしれない。
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