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『エクリチュールS』
石丸伸二をモデルにした映画が8月末に公開されるようですが、タイトルが『掟』だてさ。旧態依然としたしがらみだらけの政治を想起させたいんでしょうけど、そういう映画は陳腐。五百旗頭さんがドキュメンタリー映画ですでに撮っているし。
私は「石丸構文」とも呼ばれるあのコミュニケーションのスタイルに俄然関心があります。言語学的に考察したらおもしろいと思うけど、だれかやってくれないかなぁ。
石丸モデル作品のタ
映画『怪物』 怪物とは「なに」か。
『異文化としての子ども(本田和子/著 初版は紀伊国屋書店 1982)は私のバイブルのような本で、今もよく読み直しています。
「子供たちはおのずからなる反秩序性の体現者であり、文化の外にある存在である。私たちは『対立する他者』として子供を捉え直す必要に迫られる」
子どもは大人を挑発し、混乱をもたらす存在です。今でいえば代表的なのは、クレヨンしんちゃんかなぁ。周囲の大人を騒動に巻き込み、本音や建
滝沢文学・異化(2)
滝沢馬琴ではありません。滝沢カレンという名文家についてです。
まず、名文とは何か。
「文章がひとつの確かな空気に包まれ、そして、その空気が人を惹きつけ 、人を動かす、それが名文というものの真骨頂だと考えたい」(『名文』中村明/著 筑摩書房)
とすれば、滝沢カレンの文章は、まさに名文です。
たとえば、こんな表現。(『馴染み知らずの物語』 ハヤカワ新書)。
「顔色が雲色の日も、太陽色の日も、雨色の
「異化作用」を小学生に体験してもらった話・異化(1)
滝沢カレンの創作『馴染み知らずの物語』を読むのが楽しいので、毎日一話ずつ読んでいます。なぜこの人の表現はこんなにおもしろいのだろう。これは「異化作用」だなと思いました。
私は小学校で読み聞かせのボランティアをしていました。ときどき番外編で、こんな文学理論があるんだよ~、ということも話しました。「異化」についても取り上げたことがあります。
私たちは「見ること」を積み重ねることによって、対象を「認
『それでもバカとは戦え』
『それでもバカとは戦え』(適菜収・著 日刊現代 2021)
「たしかにアホと戦うのは面倒だ。議論して勝ったところで連中は改心しないし、 逆恨みされるだけ。 時間の無駄だし、 ストレスの原因にもなる。 合理的に考える人間はアホとは戦わないと思う。 しかし、それでも戦っている人たちがいる。 合理より大切なものがあると考えるからだろう。バカを放置するのか、それとも戦うのか」
学者先生は、SNSの議論
『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』
『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』
はっきり言って、劇場で見なくてもいいです。
たぶん広報がハンディカメラで撮影した動画を編集しただけ。画質も悪いし、ダイナミックな映像があるわけでもなし。しかも、限定ロードショーとかで、特別価格2200円(これがいちばん不満)。NPBもケチってないで、腕のある監督に最新技術を使った記録映画撮らせろよ。それやったらこの値段も惜しくはない。
でも、スポーツのド
『タフラブ 絆を手放す生き方』(
『タフラブ 絆を手放す生き方』(信田さよ子・著 dZERO 2022)
私は、家族問題についても関心があります。その界隈で、「信田さよ子は必読」という話を聞き、最新刊の単著を読んでみました。
震災以後、「絆」ということばが万能ワードになっている気がしますが、そんなもの、手放したってちっともかまわないのでは?と著者は問いかけます。なぜならこの「絆」、特に「家族の絆」がなかなかのくせ者だからです。