『エクリチュールS』

石丸伸二をモデルにした映画が8月末に公開されるようですが、タイトルが『掟』だてさ。旧態依然としたしがらみだらけの政治を想起させたいんでしょうけど、そういう映画は陳腐。五百旗頭さんがドキュメンタリー映画ですでに撮っているし。

私は「石丸構文」とも呼ばれるあのコミュニケーションのスタイルに俄然関心があります。言語学的に考察したらおもしろいと思うけど、だれかやってくれないかなぁ。

石丸モデル作品のタイトル、『エクリチュールS』というのはどうでしょう。「S」はサディストのS。言葉によって相手を貶め、屈辱を与えてドヤ顔しているのだから、S。

エクリチュールとは、社会的に規定された言葉の使い方のことで、内田樹先生の解説を借りると、

「ある社会的立場にある人間は、それに相応しい言葉の使い方をしなければならない。
言語運用に準じて、表情、感情表現、服装、髪型、身のこなし、生活習慣、さらには政治イデオロギー、信教、死生観、宇宙観にいたるまでが影響される。」

というもの。
エクリチュールは選択可能ですが、ひとたびあるエクリチュールに決めるとそれから逃れられなくなるのです。
石丸はどの段階であのエクリチュールを選択したのでしょうか。論争に持ち込んで完全優位に立つというスタイル。石丸の政策は、その尺度で決めているんじゃないか。「朝鮮人追悼式典に出席する」と答えていたけど、それは彼の人権意識からではなく、「しない」より「する」の方が論争に勝てるという判断によるという気がします。

このスタイルは敵をつくるから、会社組織内でやっていたとは思えないんだよなぁ。安芸高田市長になってからと考えるのが妥当だと思います。そうやって全国的に名を知らしめる計略だったのでしょう。他人を踏み台にしてものしあがってうあろうという、冷酷な人間の発する不穏なものを、私は感じてしまいます。

奇妙なのは、石丸に関しては、前職や学生時代を語る人がほとんどいないこと。石丸自身も自著で触れていないそうです。

なお、中学生新聞くんは「この人、厨二病ですね」と言ったとか。思わず「中1に言われてどうすんねん」ってツッコみました。


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