20000222 痛点
人体のあらゆる所に神経が張り巡らされている。皮膚や粘膜には痛点$${^{*1}}$$、温点$${^{*2}}$$、冷点$${^{*3}}$$、圧点$${^{*4}}$$、触覚受容体$${^{*5}}$$と様々な感覚を感じる器官がある。
そして痛みを感じる痛点は危険回避のためにその数は最も密度が高くなっている。
試しに針を指先に刺せば、その刺した部分が痛いと感じる。決して「指先が痛い」と考えるのではなく、そこが直接「痛い」と感じるのである。
何が言いたいのか判らないと思うが、何故、直接そこが痛いと感じるのかが不思議なのだ。
例えば痛みを感じることができるロボット$${^{*6}}$$を作るとするとしよう。ロボットの指先に圧力を感じるセンサ$${^{*7}}$$をとりつける。センサの信号をロボットの脳であるCPUに伝えるため電線でつなぐ。これがいわば神経だろう。
ロボットの指先に針を刺す。針の圧力を感じた指先のセンサからは電気信号が発せられ、電線を通じて頭部のCPU$${^{*8}}$$に送られる。その電気信号を受け取ったCPUは指先に針が刺されたことを知る。
その信号がどこから来た信号か判っていなければ、何処に針が刺さったか判らない。つまり右手の指先からの信号と左手からの信号とを区別しなければならない。このためにはセンサが何処に配置されているかが記されている「地図」が必要だろう。センサの数が増えれば巨大な地図が必要である。
それにしても「地図」上で何処が刺されたか判るだけで、「刺されたところが痛い」とロボットが感じるようにするにはどうすればいいか、皆目見当が付かない。まぁ、ロボットにそのような感覚が必要かどうか別問題ではある。
人体の場合、眼をとじていても針を何処に刺したかが瞬時に判る。しかも「そこが痛い」と感じる。感じているのは脳であるから脳には「地図」があるはずである。実際、大脳皮質には感覚野$${^{*9}}$$という地図があるようだ。ところが痛みを感じる痛点は体中に無茶苦茶沢山ある。すごい細かい地図があることになる。しかも生まれながらにしてその地図がある。
しかし地図があっても直接「そこが痛い」と感じるのは一体どういう機構なのだろう。
*1 授業の窓 「皮ふの感覚」
*2 授業の窓 「皮ふの感覚」
*3 授業の窓 「皮ふの感覚」
*4 授業の窓 「皮ふの感覚」
*5 授業の窓 「皮ふの感覚」
*6 HONDA HUMANOID ROBOT
*7 YOKOGAWA SILICON Pressure Sensors
*8 日本SGI - Cray SV1
*9 痛み情報伝達経路―末梢から大脳皮質まで黒田良太郎,川畑篤史