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スタートアップを始める時に考えるべきたった一つのこと

私は過去スタートアップへの投資やスタートアップの買収に仕事として取り組み、その後大企業グループの中で社内スタートアップし、その会社を他社に売却するまでを経験しました。(詳細は「凡人がCEOを務めて学んだこと」参照)

社内スタートアップ後はものすごく大変な想いをしましたし、振り返って失敗したなという点も多々あります。いや、まさに1勝9敗と言ってよいでしょう。

そういう私だからこそ、「凡人でも起業できる!」ということを世の中に発信していけば、ほんのわずかな人たちだとしても、誰かの役に立つのではないか。そう思って「30代のためのスタートアップ・ノート」を綴ることにしました。

無料記事ですので、最後までお気軽に読んでいただければ幸いです。

はじめに・起業という営み

起業というと一般に「独立」という意味で理解されると思いますが、本ノートでは「事業を起こす=起業」ということにします。定義は以下です。

・自ら事業を構想し、資金と人材その他必要なリソースを集めて事業の実現を目指す行為
・自己資本又は外部資金調達で起業する場合に限らず、社内ベンチャーや、会社内で事業リーダーとなって新規事業を起こす場合も含む

起業とは、今ない事業を生み出す営み、無から有を生み出す営みと言えます。起業のステップは以下のとおりです。

・事業構想を持つ
・必要なリソース(資金と人材その他)を集める
・それらをワークさせて結果を出す

起業で試されるのは「自らの事業構想を自らの力で実現させる能力」、構想実現力ということになります。

想定読者層

本ノートの想定読者層を明らかにする前に、「構想実現力」という視点で、起業家セグメント(起業時点)を以下のように分類してみました。

1. シリアル
2. イノベーター
3. テーマ起業家
4. ゼロからの起業家

シリアル・・・シリアルアントレプレナー(連続起業家)
このセグメントが起業家層のトップティアです。一度起業してエグジット(IPOや被買収)した実績のある人が二度目以降の起業を行う場合。起業家の力を測るには結果を見るしかないため、構想実現した実績はその能力の証明となります。
例:メルカリ山田さん、CAMPFIRE家入さん、ギークス曽根原さんなど

イノベーター・・・テクノロジーを駆使して世の中に無い事業を生み出す人
これは大学発ベンチャーとかが該当するかと思いますが、デジタルやバイオ関連の新テクノロジーを商業的に利用して新たなビジネスを生み出すケースです。研究職の人やその研究成果をビジネス化出来るリテラシーを持っている人、ということになります。
例:ユーグレナ出雲さん、PKSHA Technology上野山さん など

テーマ起業家・・・特定領域でトップティアの経験を持つ人
特定のテーマ、領域において起業前に第一級の経験をしており、当該テーマに関連した新しいアイディアを生み出して起業するパターン。0→1の経験はないものの、事業を成功させるための突出した強み(経験)を持っており、成功確度が高いとみなされる場合です。
例:ライフネット生命出口さん など

ゼロからの起業家・・・会社員、専門職、一般学生等
上記3セグメントに当てはまらない人がこのセグメントで、構想実現力という軸では「凡人」ということになります。

そして、「ゼロからの起業家」が想定読者層であり、「凡人であっても起業できる!」というのが本ノートで伝えたいことです。

特に30代〜40代の、企業勤めの方が主たる想定読者層になりますが、さらにその中でもこれまで起業家やVCCVC投資家といった属性の人たちとの接点があまりなく、そういった人たちに相談してみたいと思っている人が主な対象です。

起業する時に考えるべきたった一つのこと

さて、いよいよ本稿の主題です。
ゼロからの起業を行おうとする前に、一つしっかりと意識しておくべきことがあります。

それは、

「今から始めようとしている事業は、高い確率で失敗する」

ということです。

これは、悲壮な覚悟を持てとかいうことではありません。まず、新規事業とはそういうものだ、それが当たり前だと思うところから始ようということです。

例えば、株式投資をやる時、なんらかの見立てや分析に従ってこれから株価は上がる!と思って投資すると思いますが、逆方向に行って下がっていくことがあると思います。そのまま持ち続けて、半分まで下がっちゃった、など…

大事な資産を運用するのにこれでは困りますよね。自分が間違っていたと分かった時点で、立ち直れない程のダメージを負う前に損失を限定し、もう一度やり直せるかどうかが明暗を分けます。これがリスク管理というものです。

「自分のアイディアは絶対正しい」と固執してしまう人は、投資には向きません。

事業を始める時は、自分や他の株主、社員などの資金や労働資本を投下していくもの。「投資」である以上、上記の例と判断する時間軸が違うだけで、本質的には同じことです。

どれだけ優れたアイディアで、綿密に計画立てられているとしても、それがうまく行かないときどうするのか?それを考えておく必要があります。
「必ずうまく行かせるぞ!」というガッツは不可欠ですが、一方でリーダーとして、冷静に自分たちの状況を捉え、荒波に飲み込まれて大破するようなことは避けなければならないですよね。

起業家セグメントで「シリアル」が一番上になっていた理由は、一度起業して様々な難局を経験し、また様々な人からアドバイスを得た経験から、どういう障害が現れるものかがわかっており、またそれに対する備えや対処法をある程度備えているからです。リスク管理能力、と言っても良いでしょう。

初めて起業する人たちにとっては、事業を運営した経験がないため、相談に乗ってくれる相手・メンターが起業にあたり不可欠です。

本ノートは、そういった人たちに向けて、わずかながらでも助けになるようなコンテンツを書いていこうと思います。

起業する人のためのチェックリスト

独立起業、社内起業、社内新規事業など、シチュエーションは異なるので全部に当てはまるものばかりではないですが、以下のようなことができているかを考えてみましょう。

事業計画
・事業アイディアについて、見込客となりそうな個人又は会社に対してしっかりヒアリング出来ていますか。(プロダクト開発に着手する前に)
・具体的に事業を進めていく中で、何が検証されればこの事業はうまくいくと判断できるのか、仮説検証プロセスをしっかり持てていますか。
・極力低コストで運営できるような工夫を講じていますか。
・事業仮説が間違っていたとき、次にどうするかというプランBはありますか。

チーム
・いきなり人を増やさずに、最小限の体制でスタートしようとしていますか。
・メンバーの報酬が低くとも高いコミットを引き出せるような仕掛けを用意できていますか。
ピボットすることを恐れないメンバーを集めていますか。また、その遂行能力がありますか。

資金調達
・サポーティブな株主を選んでいますか。困難な状況に陥った時に一緒に打開策を考えてくれるような関係性が構築できる相手ですか。
・既存投資家以外に、追加資金を出してくれそうな投資家候補との接点を持てていますか。

最後に・まとめ

最後にまとめです。

・新規事業は「失敗する確率の方が高い」ということを前提に起業計画を考えよう
・リーダーは船長。リスク管理をきちんと考えて、当初と違うかたちであれ、次の港に辿り着けるように舵取りしないといけない
・目の前の事業に集中しながらも、常にプランBを考えるのはリーダーにしか出来ない役目
・ピボットすることがありえるということを前提にチームメンバーを集めよう
・常に次の投資家候補との接点を持つようにしよう
・運営コストは極力低く、なるべく資金が持つように工夫しよう

今回は以上です。
本業があるので、本ノートは週末に1本程度しか書けませんが、書き溜めたものを平日の読んでいただきやすい時間帯に公開していきます。
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本ノートは今後も無料公開で綴っていこうと思います。
わずかばかりの人であったとしても、誰かの人生の助けに、より楽しく生きていくためのきっかけになれば書き手としてそれ以上の幸せはありません。

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