記憶と定着率
パソコンと手書きでの記憶の定着について、エビデンスがある研究結果を踏まえて考察します。
研究結果
これまでに、パソコンと手書きでの記憶の定着について、多くの研究が行われています。その結果、一般的に、手書きでメモをとった方が、パソコンでメモをとった人よりも、記憶の定着率が高いことが示されています。
例えば、プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の共同研究では、講義のときに手書きでノートをとる生徒は、パソコンでノートをとる生徒よりも、1週間後のテストでより高い成績を収めたことが明らかになりました。また、ノルウェー科学技術大学の研究では、手書きでメモをとった人は、パソコンでメモをとった人に比べて、記憶した内容をより深く理解していることが示されました。
考察
手書きとパソコンの違いによって、記憶の定着率が異なる理由は、以下の2つが考えられます。
手書きは能動的な学習である
手書きでメモをとる際には、脳内で情報を処理し、自分の言葉でまとめる必要があります。このプロセスが、能動的な学習にあたり、記憶の定着につながります。一方、パソコンでメモをとる際には、情報をそのままコピーするだけで済むため、能動的な学習にはなりません。
手書きは視覚的な記憶につながる
手書きでメモをとった際には、自分の文字や図形を視覚的に捉えることができます。この視覚的な記憶が、記憶の定着を助けると考えられます。一方、パソコンでメモをとる際には、文字や図形を視覚的に捉える機会が減るため、視覚的な記憶が弱まります。
結論
以上のことから、パソコンと手書きのどちらでメモをとるかは、記憶の定着率を高めるためには重要なポイントといえます。ただし、メモの取り方や学習する内容によっても、記憶の定着率は異なるため、一概にどちらが良いとは言えません。
例えば、数式や図形を多く扱う内容の場合は、パソコンでメモをとった方が、より正確に記録することができます。また、パソコンでメモをとることで、学習内容をより視覚的に捉えることができ、理解を深めることができる場合もあります。
そのため、パソコンと手書きのそれぞれのメリットとデメリットを理解した上で、学習する内容や自分の学習スタイルに合わせて、最適なメモの取り方を選択することが大切です。
記憶の定着率とは
記憶の定着率とは、学習したことをどれだけ覚えているかという割合のことです。記憶の定着率は学習方法や学習する内容によって異なりますが、一般的には、学習直後は高いものの、時間が経つにつれて忘れていくという傾向があります。
記憶の定着率を高める方法
記憶の定着率を高めるには、以下の方法が有効です。
繰り返し学習する
記憶の定着率を高めるためには、繰り返し学習することが最も効果的です。学習直後は記憶の定着率が高いため、そのタイミングでしっかりと復習を行うことで、記憶の定着を促すことができます。
能動的に学習する
講義を受ける、読書をするなどの受動的な学習よりも、実演を見る、ワークを行うなどの能動的な学習の方が、記憶の定着率が高い傾向があります。能動的に学習することで、学習したことをより深く理解し、記憶に定着させることができます。
関連づけて学習する
関連づけて学習することで、記憶をより効率的に整理することができます。例えば、暗記する単語を関連づけて覚えたり、新しい知識を既存の知識と関連づけて理解したりすることで、記憶の定着率を高めることができます。
興味を持って学習する
興味を持って学習することで、学習意欲が高まり、記憶の定着率も高まります。そのため、興味のある分野や、自分の目的や目標に関連する分野を学習するようにしましょう。
まとめ
記憶の定着率を高めることで、学習の効率を上げることができます。繰り返し学習する、能動的に学習する、関連づけて学習する、興味を持って学習するなどの方法を活用して、記憶の定着率を高めましょう。