台湾食べある記 ②台北
ホテルの朝食バイキングには夢がある。
普段はそれほど朝から多くを食べもしないのに、バイキングともなると急に食欲がわきあがり、そして普段はさして気にも留めない栄養バランスに気を配り始めるのはなぜだろう。
宿泊したホテルには朝食バイキングがついていた。
シンプルなものではあるが、それでも主食がおかゆだったり中華まんやちょっとした総菜が台湾らしい。
さてこれで2日目。今日は終日台北をうろつく予定である。
まずは3度目の台北にして初めて訪れる定番スポットへと向かった。
地下鉄士林駅からバスに揺られることしばし。
バスを降り立つと宮殿のような立派な建物が見えてくる。
世界四大博物館の一つ、故宮博物院だ。
現在の場所に故宮博物院ができたのは1965年と比較的近年のことであるが、そこには中国4000年の歴史が詰められている。
もともと清朝が保有していた美術品を北京・紫禁城にて公開し始めたところにルーツを持つ。その後、第二次大戦後共産党との内戦で戦況が不利になった中華民国政府が、厳選した所蔵品を台湾へと運び出したため、古代から中国の王朝に伝わる宝物約60万点が台湾に所在を移し、所蔵されている。
その後国を挙げた展示スペースの拡充の甲斐もあり、ルーブル美術館(フランス)・エルミタージュ美術館(ロシア)・メトロポリタン美術館(アメリカ)と並んで世界四大博物館と称されている。
広大な庭園を抜けると、おおよそ美術館とは思えないような建築が待ち構えるが、ここが本館である。
展示室は3フロアからなり、すべてをくまなく見て回ると1日ではとても見切ることができないので、主要なものを流し見ていく。
写真を貼っていってもきりがないので、ここではどうぶつコレクションを示すことにする。
しかし、やはり故宮博物院で見逃すことができないのは2大名宝と呼ばれる彫刻だろう。
それがこの肉形石と
翠玉白菜だ。
いずれも清時代の彫刻であり、自然の石を加工して豚の角煮と白菜を模して精巧に彫り上げられている。
なぜそれを題材にしたんだ、と思っていたがいざ目の当たりにするとその緻密さは想像以上であり、数多の骨とう品を抑えて代表的な所蔵物と評される理由がよくわかる。
あまりに精巧な石の食品を見つめていると、どうしても
腹が、減った。
というわけで見学を切り上げて中心部に戻ると食事をとることにした。
やってきたのは迪化街だ。
迪化街はもともと茶や乾物の貿易で栄えた問屋街であり、古い街並みを今に残しながらショッピングなどを楽しむことができるエリアである。
いろいろと土産物も物色したいところだが、まずは自分の腹の機嫌を取らねばならない。一軒の食堂のドアをくぐった。
ここ永楽担仔麺はいたって普通のローカルな食堂の見た目だ。
店先には食材や料理が並ぶ。
しかし、この店が観光客の間で一躍知られることになったのは、孤独のグルメのロケ地となったからである。
台湾での問屋街リサーチの合間にいつものように空腹を覚えた主人公・井之頭五郎が店員の呼びかけに応じて入店したのがこの永楽担仔麺であった。
店にはそれを示す写真も飾られている。
ここでもやはり注文は記入式だった。
やはりここに来たからには五郎さんと同じものを食べるのが正解だろう。
注文したのはおかずの盛り合わせ、そして魯肉飯とならび台湾ローカル丼として人気の鶏肉飯だ。
細く裂かれた鶏肉とたれが少しかかっただけのシンプルな逸品で、八角が薫り濃厚な味わいの魯肉飯と比べると、鶏肉飯はあっさりとした味わいが特徴であった。
通は魯肉飯より鶏肉飯、というような話も聞いていただけに、結構期待していたのだが、美味しかったものの、個人的には期待を越えてくるほどではなかった。
この店の鶏肉飯が私に刺さらなかったのか、あるいは本来こういうものなのかは、別の店で再度トライしたときに明らかになるだろう。
とはいえ総合的には大満足で、空腹の虫も収まってくれたので、街を歩いていこう。
迪化街に隣接する永楽市場は、ローカルの市場といった雰囲気でいろいろな食材が並ぶ店を眺めるのが楽しい。
また迪化街のストリートを歩けば、お茶やカラスミ、木の実類といった商品を売る店が並び、お土産を探すのにもちょうどいい。
ローカル御用達の店もあれば、観光客をかなり意識した店もあるので、いろいろ見ながら品定めするのが良いだろう。
歩き疲れてきたら、糖分補給が必要だ。
台湾の人気スイーツ、豆花をいただく。
豆花とは要するに豆乳で作られた豆腐のようなプリンのようなスイーツである。
優しい甘さの豆花に、茹でピーナツやタピオカ、仙草ゼリーなどトッピングを載せて味わうことができる。
蒸し暑い街歩きの中、優しい甘さのスイーツがいただけるのはありがたい。
こうして消費したカロリーをきっちり取り戻すと街歩きを再開し、
お土産の物色を行った。
中山に戻ったころにはすっかり夜も近くなり、夕食の頃合いとなった。
この日は台北に駐在している同期と夕食を共にすることになっていた。
お土産として購入した大量のお茶漬けやせんべいを手に、集合場所へと向かった。
夜も中山の街は活気に満ちている。
ド定番ではなく地元の人がいくような店を、というリクエストに応えてくれた同期が連れて行ってくれたのは、ローカルとの飲み会でよく会場になるという店だった。
メニューをは中国語オンリーで日本語がないあたり、ローカル感があっていい。でも店自体はこじゃれた内観であった。
餃子を売りにした店で、水餃子が中心の台湾にしては珍しく焼き餃子主体なのが珍しい。
なぜか、店の写真も食事の写真も全く撮っていなかったことに今になって気づいたので、店内の雰囲気などはこちらを参照されたい。
餃子ももちろんおいしかったのだが、
ベビータケノコを皮ごと豪快に焼いたものが美味しかったこと。
副店長がロッチ中岡に似ていたこと。
串カツ田中のチンチロリンのような、サイコロを振って1杯無料みたいなキャンペーンをやっていたが、ルールがいまいちよくわからなかったこと。
同期がどうにか頑張って中国語でルールの解明を試みたが、最後の最後で実はロッチ中岡が日本語を話せたと判明したこと。
などが印象に残っている。
こうしてローカル飯を堪能した後は、2日間酷使した足をいたわるため、足つぼマッサージの店に行き、ひとしきり悶絶して、ホテルに戻ると翌日の移動に備えて荷物をまとめ、眠りについたのであった。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この記事が参加している募集
いただいたサポートは、新たな旅行記のネタづくりに活用させていただきます。