する、よりしないことの方が難しい
昨日、本棚を眺めていて、なんとなく手にとった「しない生活」という新書。副題は「煩悩を鎮める108のお稽古」とある。
最初から最後まで読み通すことはしていないのだけれど、その時その時に気になった項目をつまみ読みすることが多い。
例えば昨日目に止まったのは以下の項目。
27)煩悩の連鎖が自覚できれば心は落ち着く
31)「家族を思い通りにしたい」という支配欲が不幸のもと
33)「ありえない」という否定語は傲慢で不寛容
88)どんな環境でも、今ここを「心が静かになる場所」にする
タイトル別にほぼ見開き1ページの解説がまとめてあるので、さっと読み切れる上、思い当たる節がたくさんある鋭い指摘が散りばめられている。
例えば、27)では
私たちが他人に腹を立てるとき、その人の①怒り(攻撃性)、②欲望(収奪性)、③愚かさ(無能性)の三種の煩悩のいずれかを察知して、それに対し、「煩悩を向けられるのは嫌だっ」と、自らの怒りの煩悩を連鎖させているのです。
という表現がある。なるほど、と思わせるのだけれどこの3つをさらに自分の日々の「怒りっぽさ」を図るバロメーターとして使ってみるといい、というようなことが書いてある。
他人からの攻撃にイラつく程度なら怒りっぽさは1P、相手の自分語りにイライラするといった実害もない欲望を許せないなら2P、何かをやってくれた相手のイケテナイ対応にイライラするようなら3P。たいして実害もない相手の煩悩にイライラするときは怒りっぽくなっているということに気付いて、自分の態度を改めてみる。
31)に至っては、思う節が満載で苦笑してしまったほど。例えば、お風呂の時間。「まだ入ってないの?」「早くして!」これ、いいがちありがち。何が書いてあるかというと、お風呂の時間が多少狂っても、ほとんど実害はないのに、そんなことでイライラすると心の害は甚大だということ。
あーーー、甚大な心の害!まさにそれ。チリツモで全くいいことなし。自分の不機嫌さにみんなが連鎖反応するだけ。反省した。もう放っておこう。お風呂のお湯が冷めてもしらない。「歯磨いて!」「まだ磨いてないの!」「なんで言わないとしないの!」とかもおそらく同列のレベルなんでしょう。歯を磨かない人には、歯医者に自分ひとりで行って貰えばいいだけのこと。
これ、ほんとやりがちなんだよなぁ。先回りして「やって!早くして!まだやってないの!」と注意しがち。
33)の「ありえない」というのも結構使ってしまう。「数ヶ月も振り込みがないなんてありえない!」(←これはほんとにあってはならないことだと思うが)というのを先ほどの友人との会話でさっき使いました、そういえば。「それは起きるはずがない」「起きてはならない」「非常識な、起こるべきではないことだ」という意味合いのある言葉。
物差しはもちろん自分。「私の常識からでは、ありえない」ことに対して言っているつもり。ここで、「しかし現実は、自分の思惑を超える、あらゆることが起こるのが、当たり前なのです。地震も起こる。火事も起こる。犯罪も起こる。裏切りも起こる。理不尽な扱いも起こる、、、そう、すべては『ありえる』と開き直れば、心は強くなるのです。」とある。
なかなかこの心境に至るのは難しいかもしれない。振込はさっさと処理して欲しいからだ。でも、そういう先方のダメさ加減にイライラしない方が楽に生きられるのかもしれない。知らんけど。
とまぁ、至極真っ当なことがわかりやすい例えと共に「〜しない」ということが解説されている本といえばいいだろうか。
コロナ禍で自分の思い通りにならないことが多い今日この頃。少しは悟りが開ければいいんだけれど。
タイトルに既視感があるので、もしかすると過去に一度「しないことの方が難しい」ことについて書いたことがあるかもしれない。
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