基準。
介護職員が痰吸引を行うようになってから随分と経った。限定的ではあるが、看護師だけではなく介護職員もできるようにしたことは成功とゆうか、大きな意味があると思う。
自分が勤めている施設でも痰吸引の資格を取るために、毎年数名ずつ研修に参加している。その中で、先日こんなことがあった。
受講した職員は、試験のように人前で何かをすることが元々苦手。今回の検定もプレッシャーで上手くできなかったらしい。すると、『落ちたらもう来年からは挑戦しない』と周囲に話しているという。
それについて管理者たちは、『若いんだから』『この先も仕事続けるなら取ってもらわないと』『勿体無い』という意見以外は出なかった。その奥には、『本人が嫌と言ってるからなんとかして挑戦させるよう仕向けたい』というようなことがあるように感じた。
大事なことが欠けていると思った。それは明確な指標となる判断基準だ。感覚だけで育成しようとしても育成にならないと自分は思っている。
施設としての方針がまずあって、そのうえでそれを実現する職員レベルの段階をいくつか作り、その中に吸引の実施も含める。それに該当する職員には、意図をしっかり説明して受講してもらう。もちろん受講する本人の意思は重視されるべき。だからもし受講に消極的な場合は、なぜ受講してもらいたいか真剣に伝えていくこと以外に方法はないんだと思う。それでも受け入れてもらえない時は、組織の基準に合致しないため、人事考課で適切に対処するしかないと思う。と同時に、どうすれば受け入れてもらえたかを振り返ることも必要かと思う。それが公平性を保ちながらチームを作ることになるんだと思っている。
管理する立場としては、会社のためとか、本人のためと思っていたのかもしれない。でも自分には違和感があった。組織の命令とか、個人の意思のどちらかを取るというようななんとなくの感覚で育成を考えてほしくないなぁと。なぜそうするのか基準を元に、扇動する側と指示を受ける職員が話し合うことが1番なのではないだろうか。