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文房具への屈折した感情と、阪急うめだ文具博の戦利品について
文房具、お好きですか。
私は大好きです。
……と、言いたいところなのですが、胸を張ってそう言うには自信がない部分があります。
その理由は、私のずぼらすぎる性格。
やがて哀しきモンスター
毎年、かわいい手帳を買います。
たいてい、ヒグチユウコさんの出す手帳です。
ハイパーきゃわきゃわキュートですね。
今年こそはこれに展覧会のチケットや、かわいいショップカードやチョコレート・ボンボンの説明書き(お高めのチョコレートアソートを買ったときついてくる、どの粒がなんの味か書いてあるアレです。捨てられない)をスクラップしたり、仕事の予定を書き入れたり、読んだ本や観た映画の記録をとったり、するぞ。
絶対にするんだい。
毎年するそんな決意は、必ず頓挫します。
ずぼらだから。
あと、あんまり自分の書く字が好きじゃないから。
私と文具の関係ときたら一事が万事この調子で、例えばかわゆい付箋やマスキングテープにメモパッド、ちょっとひねりのあるデザインのゼムクリップなんかを買っても、有効に使いきれた試しがありません。
でも見るのは大好きで、見ると欲しくなっちゃう。
だってかわいいんですもの。
クリームソーダ柄のメモパッド。
リバティみたいに繊細な花柄のマスキングテープ。
リアルなきのこ柄のクリアファイル。
いくら丼の絵がついたスティックのり。
横綱が一面にプリントされたぽち袋。
字をなぞるとかすかなでこぼこが指に伝わり、インクが香ってくるような活版印刷のポストカード。
それらを目の前にすると、私は引き裂かれるような心持ちになります。
とてもかわいい。いとおしい。自分のものにして、毎日眺めて愛でたい。
でも、私の机のなかにはそうして買い求めた文房具たちがたくさん眠っている。日の目を浴びずに。時折眺めて楽しむということだけのために。彼らが本来の役割を果たすことなんて、数ヵ月にいちどもない。
そんな状態、文房具の「死」では?
気分はさしずめ、自分の力をもてあます哀しきモンスター。
オデ、オマエ、スキ。イッショ、アソビタイ。
デモ、オデ、チカラ、ツヨイ。オマエ、コロシテシマウ……。
そんな屈折した思いをかかえながら、出先で「文具博」とか「文房具フェア」なんて言葉を見つけると、やっぱりふらふらと引き寄せられてしまいます。
個人経営の文房具屋さんなんて見かけたら絶対入る。
だってかわいいんですもの、文房具。
阪急うめだ本店の「文具博」にいってきたよ
そんなわけで、先日は阪急うめだ百貨店で開催されていた「文具博」に吸い寄せられて参りました。
自分の中のモンスターを懸命に制御し、「使う機会があると言い切れること」を条件に厳選した戦利品がこちらです。
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「廣運舘活版所」のレターセット
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デザインに一目惚れして手に取りレジに向かおうとしたところ、お店の方に「待ってください! まず書きごこちを試してください!」と引き留められました。
そんなことある??
お話を伺うと、一筆箋に使われている用紙は
“sura”
“kari”
“nume”
の3種類が用意されているそう。
試してみるとなるほどその名のとおり、スラスラ書けたりカリカリ引っ掛かったりヌメヌメ滑ったり。
「書く」という行為を楽しんでほしい! という思いが伝わってきました。
活版印刷に使われている機材はすべてアンティークらしく、一行ずつ違う飾り罫線を使ったレターセットなんてものもありました。
ぐっと来たのがレターセットの封筒。
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これとおんなじデザインのブローチがほしいです。
コートの襟につけたい。
any.paperの一筆箋
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廣運舘活版所のレターセットを手に入れてこれで十分! と思っていたのに、ふらふら引き付けられてしまった。
だって大好きな食べ物柄! しかも珍しいいちじく!!
ほんとうはでっかいラッピングペーパーがほしかったのですが、絶対うまく包めないので一筆箋にしました。リアルさとデフォルメの絶妙なバランスがにくい。
REGARO PAPIROと岩㟢紙器コラボの小物入れ
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おうちの形の紙製小物入れ。
ほかにも二段重ねの重箱のような形のものや、柄も選びきれないくらい用意されていました。
箱っていいですよね。
選ぶときと、何をいれるか考えているときで二度おいしい。
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番外編、Pavilioのレーステープ
断腸の思いで諦めたものたち。
だって見てください、この完璧なパッケージ。
商品名にぴったり合った色柄の包み紙、フォント、そしてそれらを横切る細かな細工のロールテープ!
そう、中に入っているロールテープとまったく同じものが、パッケージをまとめる役割をしているんです。世界観を表す要素をあますことなく配したパッケージを、他でもない商品自身で完成させる素晴らしいプロモーション。神は細部に宿るとはこのことか。
そしてこれはどういうことを意味するか?
中のロールテープを取り出して使うには、外側のテープを切ってこの素晴らしいパッケージデザインを崩壊させる必要がある、ということです。
そ……そんなこと……できない……!
(絶対、飾る用と使う用の2個買わせるための戦略だと思う)
しっかり商品名を覚えて帰ってwebショップをチェックしているあたり、いつか買っちゃいそうですね。
あー楽しかった。
きちんと使いきれるよう、今年はなにかにつけて手紙を書くぞ。