#3 「母性」湊かなえ 感想
こんにちは!ゆーずと申します。
今年の目標のひとつ、読書
無事3冊目が読み終わりましたので感想を記していきます。
※ネタバレなど注意してご覧ください
なるべく感想、あらすじ程度としますが、万が一ネタバレある場合はご容赦ください。
まず あらすじ
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能限り、大切に育てた娘がこんなことになるなんて」。
世間は騒ぐ。これは事故か自殺か
遡ること11年前の台風の日に彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去るれていた。
母の手記と娘の回想が交錯し浮かび上がる真相。
これは事故かそれとも…
第1章 厳粛な時
母親の結婚から妊娠、出産まで
→印象はかなり真面目なお嬢様
娘が生まれてからの幸せな家庭の記憶
→母の言うことや教えられたことができる娘
共通するのは二人とも祖母の過ごす時間が好きなことでした。
第2章 立像の歌
祖母の事故による死まで
ここで母親、娘からの視点それぞれでの食い違いが生じてきます。
そしてこの祖母の死をきっかけに崩れだします
第3章 嘆き
祖母の死、事故をきっかけに夫の実家へ住むことになった母娘はここから義母からきつく当たられ義妹や夫からも優しくはされず、ただ認められようと完璧な嫁いできた嫁として働いていた。
義妹の失踪により、なおあたりのきつくなる義母
失踪に関わった娘への失望
そして娘視点での母からの圧力、暴力?
第4章 ああ、涙でいっぱいの人よ
ここで母娘は二人目を妊娠
しかし娘の行動や言動をきっかけに死産
失望が重なる
娘は母のための行動なのに報われず
二人共にフラストレーションがたまる
第5章 涙の壺
ここで高校教師が新聞記事で今回の事件で母親が、大袈裟に愛についてコメントしていることを疑問視
娘、義母がかなり精神的に追い詰められている
詐欺に引っかかる母親→娘が言うことを聞かない
妄想障害の義母
何も言わない夫
家族関係が崩壊してますね
第6章 くるがいい、最後の苦痛よ
冒頭の女子高生が自宅に倒れている件
娘の自殺か、事故か
家族の悲劇を母親視点、娘視点で書かれています
一番の見所でした
終章
その後について
おおまかに内容を記しましたが…
読み解く解釈が合ってるのか分からないところも多々ありますが、感想です。
①語り手(母親の手記、娘の回想)
こう区別するだけで実際に起こっている出来事のズレが生じていました。読み手からするとどちらを肯定するか、または両否定の疑いをもって読み進められるのではないのでしょうか。私はかなり惑わされました、どれが真実なのか?と。
私の視点からは先に母親の手記→娘の回想の順だったので、娘の気持ちに反した母親というのが強く印象づいてしまっていました。そのため娘の回想を肯定して読んでいたのです。でも、少し読み直すとこの語り手二人がけっこーおかしな思考回路の持ち主達で「真面目すぎる母親」と「母親を守りたい、愛されたい一心の娘」という設定が、なお真実をわかりにくくしているのかなと感じました。
めちゃくちゃ面白かったです。
高校教師の語り手もだれなのかは明記されませんでしたが、はじめは男性だと思ってましたが、読み終わったときに違うというのと、誰なのか、そしてこの高校教師が話している事件が違うというのがわかって「おぉーー」と一人でなりました(笑)
②主人公の名前を出さない
最初の方から気にして読みましたが、主要人物たちの名前は後半まで伏せられていました。
この理由を色々知りないなーと思いました。
特に娘視点で母親の名前を出さないのは分かりますが、母親視点で娘の名前をずっと出さないというところで、小説のトリック的なところで出さないという理由だけなのでしょうか?
私が思ったのは、母親から娘に対する愛情の薄さを感じることはできたな、という感じですがもっと深い理由もあるのかなと思いました。
夫のこともずっと名字でしたしね、母の性格はここで理解できましたよね。
このあたりは、他の方の解説や感想も拝見させて頂こうと思います。
③母性について
最後にタイトルについて、読み終わったあとに関して思ったことです。
今回は母親と娘に加えて祖母の母性が主でしたね。
でも姑(義母)にも現れていたし、地味に義妹の子供などもいて、色んな母親がいるよなそりゃって思いました。
それぞれに対しての母性と、何歳になっても親子だし、その関係を作っていくんだなと感じました。
この作品を見て、子供に優しくしよう、自分が親になったらという感情にはならず(笑)
この物語自体が生んだ「悲劇」と「真実」に衝撃を受けました。
自分の思ってること、見ていることと現実(他者の視点)はすべて一致しているとは限らないと思わされました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
これからも読書、ぼちぼちすすめていきます!