【短歌十首】春うらら
徹夜して見張れど開く瞬間は見せぬつもりの桜の花よ
春なれば花筏を詠みたしと歌を探しに川を見にゆく
流水の音に無心で佇めば世界は川と我だけになる
新緑とハナダイコンと山吹を春の三原色と名付けん
花フェスタあるじ詠嘆する横でよそ見する犬あくびする犬
贅沢はたとえば春の陽と風の下でソルベに凍えてみること
何にでもなれると思い込んでいる若葉の若葉色の眩しさ
この生を我しか生きられぬ孤独 同じ若葉は二枚となくて
花びらと葉とまやかしの希望とを降らせて春の嵐は聖者
春雨は降り止まぬまま黄金の天から光射して夕暮れ
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