マーケティングよもやま話 ドリルを求める消費者は時代の産物か
マーケティングの有名な言葉に「消費者はドリルそのものではなく、ドリルが開ける穴を求めている」があります。
つまりは、消費者は欲求に対する実現手段はどうでも良くて、欲求に沿った結果を求めている、という考えになります。私の職場は自転車を作って売るプロダクトカンパニーですから、この言葉をそのまま受け取ると大きな業態変換が必要です。自転車がもたらす結果を提供するわけです。
当然、ものを所有することに意義を見出す方もいますから、この考え方は反論も多く出ます。SNSなんかでもよく見かけます。
で、先日職場からの帰り道に「発展途上国の人が蛇口を欲しがった話」を思い出しました。
発展途上国の方が日本に来て、蛇口をひねれば水が出てくることに感動して蛇口を欲しがる…みたいな話です。もちろん、蛇口だけで水が出るわけなくて帰国したら水道を引く必要があります。
この話はまさに結果を望む消費者像と合致していませんか??
とすると、ものの所有に意義を見出す人とそうでない人を分かつものはなんだろうと考えたときに、時代に応じた文化や教育なんじゃないかと思いました。
最近はシェアリングエコノミーが活発になって所有しない価値観が増えてきたと言われています。
私は所有しない価値観が増えたんじゃなくて、人間はもともと所有しない価値観なんじゃないでしょうか。ここ数十年の日本(先進国)の文化・教育が育てた価値観がモノは所有するものとしてきたんじゃないかと。
だから、発展途上国の話の人は蛇口を欲しがるし、若い世代はシェアリングエコノミーに抵抗が無いのです。人間がもともとそういうものだから。
とすると、ここ数十年で組み立てられたプロダクトビジネスも変わっていくんですかね。なぜ先進企業がビジネスモデルを転換しているのか等々、関連する話は多いのでもうちょっと深堀りしたいところです。