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秋の真夜中に
快晴に恵まれた日の夜。
眠れなくて布団を抜け出す。
冷たい窓、冷たい空気、星の気配。
目が暗闇に慣れるまでの時間がもどかしい。
南の空にひとつ、ふたつ。そのあとはあっという間だった。白い光の粒が視界いっぱいに飛びこんでくる。
こんなにも、星・・・・・・
真夜中の住宅地。家々の明かりは消え、惑星や冬の1等星たちがひときわ輝く。
秋の星座は控えめな星が多いけれど、この時間は恥ずかしがらずにその優美な光をはっきりと届けてくれた。
見える星の数が想像していた以上で、くらっとする。
大きなくじらの頭の五角形。くじらのしっぽディフダが南の空で目立つ。
その西側には黄色っぽい土星。
今年はみずがめ座の辺りにあるから、土星をたよりにみずがめ座の目印“三ツ矢のマーク”をたどる。
あれは、おひつじ座?
振り向いた羊の姿を想像しながら目線を南に移していけば、土星よりも眩い木星が、冬の1等星に負けない王者のかがやきを放っていた。
もしかして、と東の空に顔を向けると、のぼってきたばかりの火星がオレンジ色に灯っている。
オレンジ色といえば、おうし座のアルデバラン。闘志みなぎる赤い目。
そしておうし座といえば・・・・・・。
肩の方に注目すると、宝石箱のような星たちのまとまり。私の大好きな“すばる”。
隣の家の屋根に一部隠れながらも、オリオン座の鼓の形を見つけることができた。
オリオン座を見ると安心するのは、部活やアルバイトで遅くなった冬の帰り道、心細くなった私に寄り添ってくれた馴染みの星座だからかもしれない。
狩人オリオンの腰の部分に“三つ星”。三つ星のすぐ下、腰に携えた剣は“小三つ星”。
小三つ星に望遠鏡を向ければ、星が誕生する場所“オリオン星雲”を見ることができる。
以前、観望会に参加したときに望遠鏡で見た“トラペジウム”とよばれる4つの星を思い出す。星々が誕生する、“星のゆりかご”だという。
オリオンの右肩でかがやくベテルギウスは、もうすぐ爆発してしまうらしい。ベテルギウスの燃えるような赤さが一時とても暗くなり、驚いた。
貴重な瞬間を目にしたい気持ちと、まだいなくならないで、という気持ちが混ざりあう。
シリウスは空のずっと低いところ、プロキオンは隣の屋根に隠れてしまい見つけられなかった。はやく冬の大三角を描きたい。そして、ダイヤモンドも・・・・・・。
まだまだ眺めていたいけれど、星たちにさよならをして窓を閉める。
また、晴れますように。
みなさん、あたたかくして夜をお過ごしください。