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時計と同じ速度で歩く

 こんにちは。柚子瀬です。

 私は昭和記念公園の年間パスポートを持っています。だからなんだといわれたら返答に困ってしまいますが、とにかく年パスを持っているというわけです。3月の終わりに入手して、4月は心身ともにだいぶ参ってしまっていてなかなか外に出られなかったのでせっかく年パスを持っているのにほとんど行けていないです。そして今は5月です。「もう」なのか「まだ」なのかは知りませんが5月です。以前「歳を重ねるということ」という記事を書きました。そこに私の時間に対する考え方みたいのを書いたんじゃないかなあ、と思いちょっと読み返してみたらぜんぜんそんなことありませんでした。まあでも、歳を重ねるということはすなわち時間を引き受けるということで、たしかにいつからか歳をとるのが怖くなりましたが、どうだろう、受動的ではない歳のとり方なんてものが存在するのかはわからないけれど、時間という呪いを引き受けているだけで立派なのではないか、と思う自分もいます。生きてるだけで素晴らしい、とか、長寿がいい、とか、そんなふうにわかりやすい言葉にまとめられるものでありませんが、このごろはただ生きているだけで可能性に満ちあふれているように思えます。この言葉も綺麗事をいっていると受け取られても仕方のない表現ですが、私がいいたいことはこの表現ではすくいきれないのでこのことについてはまたあたらめて書こうと思います。忘れてしまうかもしれないけれど。

 脱線しました。

 年パスを持っているという話でした。5月に入ってから心身ともに──とくに心のほう──落ち着いてきたので、昭和記念公園に行ってきました。気楽な散歩です。音楽を聴きながら歩くこと──。どんなときもそうすることで自分自身を取り戻すことができます。正直年パスは持っているけれど昭和記念公園に詳しいということはなくて、ただ歩くだけです。井の頭公園でも、大濠公園でも、たぶん全国どこの公園でも道でも、私はそういふうにただ歩くだけです。ルソーの著作に『孤独な散歩者の夢想』というのがあります。実際に読んだことはないのでどんな内容なのかはわかりかねますが、私もひとりの「孤独な散歩者」なのかもしれません。

 散歩して、図書館に行ってきました。どうしても借りたい本があったのです。それは『ヒュパティア』という本です。何度か書きましたが『フェルナンド・ペソア伝』『実存主義者のカフェにて』『シモ—ヌ・ヴェイユ』を読んでから伝記というジャンルにたいへん興味を持ちました。伝記には、これまで触れてきたほかのジャンルでは得られない喜びがあります。『ヒュパティア』も伝記です。前にツイッターでみてからずっと気になってました。借りられてよかったです。図書館という場所は私みたいに本を第一に考えて生きているような人間にはほんとうにかけがえのないところです。ついでに『キェルケゴール』『現代フランス哲学』の2冊も借りてきました。どちらもちくま新書で、気になっていた本です。

 音楽を聴いて散歩して──。そんなふうにひとつひとつ日々を重ねていけたらいいなと思います。ほんとうに。


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