虎に翼 第99回 桂場に匂う不穏のタネ
虎に翼 第99回
「いい大人が」「変な噂になれば君たちの出世に響くかもしれない」という台詞はこの人の口から出ると妙に新鮮でもあり、裁判官という職業柄、そこを気にしない寅子の方が今更ながらの型破りなのか。前回の航一さんもやけに暗く悩んでいるふうだった。
上記にて〈この人〉と書いたのは、桂場等一郎という役柄もしくは創作人物の言葉というだけではなく、松山ケンイチという俳優の人間的魅力やオーラに寄せた表現のようにも思えたから。
ドラマ(物語)というフィクションは、リアル(史実)にこだわりすぎると力を失う。そこはもう、そこにいない人のことをどこまで緻密に再現できるかということなのだけれど、物語という手法を用いる時点で、あくまで又聞きなのだ。リサーチャーや監修者の情報や意見を入れた上で、あとは作り手が情報をばっさりと捨てて設計図をひく。それを再度、演出家や中の人が読み解いて解釈、再現する。
松山ケンイチが演じる桂場という人物を観ていると、実在した人にどう肉付けをしてカメラの前に立つか、視聴者を納得させるかという計算の足し算と引き算、逆算に手慣れた熟練の力を感じる。ファンが多いのも納得だなあ。
そして猪爪家の設えに色々と注目。
兄弟が机を並べている部屋は、それぞれの性格が出ているのか、とか。
積み上げた座布団を見て、特に誰のと固定してないかもだけど枚数からいって道男はホントにほぼこの家の人っぽく入り浸っていそうだと。
あと、直明が「結婚したい人」として連れてきたレミさんは、どうやら「スンッとしない」「この女、強い」という少し変わったキャラっぽいぞ、とも。
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