閑話 フィクションは記憶の再現
フィクションはリアルと地続きだって思う。実際に空襲で家が焼けてすべてを失ったという人が、はるさんの着物がいつも綺麗で毎回違う、とモヤモヤするのは自分のリアルを思い出して辛くなるから、だと思う。モヤモヤするって、そういうことだし、人それぞれ。いろんな鑑賞があるのだから。
女学校時代の寅子が、花江との共演で『青い鳥』を演じてみせたという、直言の記憶の中での劇中劇や、女子部での新入生歓迎の『毒まんじゅう殺人事件裁判』だって、いわばフィクション・イン・フィクションである。どこまでリ