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また同じ夢を見た

また同じ夢を見た。
もう、夢を見始めると、夢の中の私が夢だと自覚するようになった。

夢の中だけに存在する場所がある。
現実の世界にもありそうな風景だけれど、夢の中にしかない場所。
何度も来た。

何度も来るうちに、現実世界で訪れた場所のように錯覚しそうになっていた時期がある。

狭い木の階段を昇ると、木でできた何もない狭い部屋がある。
何をするわけでもなく、私はしばらくそこに居る。

どうして夢の中では、いつもそこに行くのか、わからなかった。
特に楽しいわけでもなく、夢の中で夢だと自覚するようにようになってからは、なぜいつもこの場所なのだろう? と、思わずにいられなかった。

ある日、狭い木の階段から落ちて、地面の穴に入った。
洞窟のようになっていて、男の子が一人居た。

「ここにはあまり居ないほうがいい」と、真剣な眼差しで、地面の上に戻る方法を教えてくれた。
その目の強さが好きだった。

著者による朗読版(Spoon)

※Spoonにアカウントがない方も、お聴きになれます。

インターネットラジオ放送決定!

当作品が朗読放送されることになりました。
2023年5月11日(木)23時から、NFRS×聴くっショ!のコラボ番組「Sound Anthology」内で流れます。

放送局サイト

朗読者・harlequin moonさんのTwitter

https://twitter.com/harlequin_moon

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夕月 檸檬 (ゆづき れもん)
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