アタシの全部を愛して…
書くときはジェンダーレスで。
そう思い込みがあったのだけど、アタシは最近オンナに戻った。
昨年の秋から始まって、急に何かに呼ばれるように家を出てから、やっと戻ってきたんだ…
何処か場所の話だけじゃなくて、時空の旅から意識が還ってきたような感覚。
この期間に起こった超感覚的な事実、忘れた方がいい、その方が幸せになれるってわかってる。
だからこそ、旦那さんだけを、彼を信じて生きていくって、そう決めた。
過去に遡ってやり直したとしても、アタシは最善の選択をしたと信じたいし、今更何をすれば良かったの?
揺れ惑う心模様を必死で瞬間に留めおいて、
彼の中に面影を探す。確かに彼なんだわ。
10年の歳月はアタシを突き落として、そして
また拾い上げた。現在の日常生活に、また明日があることを告げて、朝陽が眩しいこの部屋に
戻ってきた実感を深めてる。
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こんなに綺麗なヒカリの世界に居られるなら、
迷うことなんて無い筈なのに、アタシは誰を探していたのか、もう、いい。
考えても答えなんて見つからない。
心の傷が思うより深過ぎて、アタシは壊れかかってた。どれが主人格なのかわからなくなって眼にみえない誰かと必死で会話していた。
どうしたら戻れる?
オンナである自分を愛せる?
そんなことをぼんやりと思いながら、軽い木のスプーンでヴィシソワーズを掬う手を止める。
ハッとして思わずスプーンを取り落とす。
アタシ、アタシは…待たれていたのはアタシなんだわ!
ちゃんと愛されていたのは事実なんだ。。
探してた彼は、目の前に居たのに、居たのに!
呪いにかかったかのように靄の中に迷い込んだままの思考回路は、アタシを待ってた。
姫、と呼ばれるような年じゃないのに、
彼はたまに揶揄うように、姫ニャンコ!とアタシを呼ぶ。
秘密はね、アタシも知らない彼しか知らないアタシ。whistle Voiceのアタシ。
時々オトコになるオレ。
子どもになるオラ。
訳分からなくなるくらい、考え抜く私。
いろんなことがありすぎて、人格が入れ替わるアタシは、彼の好きなオンナに戻る。
他人からどう見えても構わない。
彼に愛されるなら、弱くても構わない。
もう、闘わなくていい。自分自身と。
寂しさが襲っても、知らないままの自分を認める勇気が、そして決意が、これからの自信に繋がるような気がする。
訳も無く寂しい。本当はちゃんと理由があった。でも、今は求めない。
アタシが固まるまでは。
惑わない。幻想に逃げないように、ネイルをしながら彼を待つ。
きっと、アタシも知らないアタシを彼は知っているんだわ…
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