浅瀬と深海 ―うつ病体験談―

人間関係に恵まれたなあ、と、思うことってありませんか。

学校や会社、家庭に、自らを認めてくれる場があることはとても素敵だと思います。

しかし私は、それが原因でうつ病と診断されました。



私は、2018年に大学を卒業し、某企業に入社しました。

優しい上司・先輩・同期に囲まれ、ほとんど残業のない、素敵な企業です。


仕事にもだいぶ慣れてきた2019年3月頃。

頭痛や胃痛、通勤・退勤中や仕事の休憩時間に涙が止まらない、深夜や明け方に目が覚めるなど、様々な症状に悩まされるようになりました。

その都度「情緒不安定」という言葉に頼っていましたが、お付き合いしている彼のすすめで、4月に初めて心療内科を受診しました。



「うつだね」

医師の方に言われた瞬間、ああ、そうなんだ、わたしはうつなんだ、という客観的な驚きがありました。

というのも、今まで学校やバイト、仕事にはなんだかんだ行けていたし、声をかけてくれる知人もいて、自分は普通に人間をやっていると思ってたんです。


だからこそ、自分が惨めになるんです。


期待に応えようとすればするほど、自分はなんてダメなやつなんだ、どうしてこんなミスをしてしまうのか、あの人はこんなに頑張っているのに、と一人反省会を繰り返す羽目になってしまうんです。

本来なら「まあいいや」と言えることでも、スルーできずにぐるぐると考えてしまうように、もともとの自責的・悲観的な性格が、恵まれた環境と化学反応を起こし、うつを引き起こしたんだろうとのことでした。

医師の言葉を聞いて、わたしは普通じゃない、異常な状態のまま育ったことに気づかされました。



約半年間薬を飲み続けていますが、いまだ体が重かったり涙が出ることはよくあります。

そのため、事情を知っている方からは「薬を飲んでいるのにどうして治らないんだ」「休むなんて甘えだ」と言われることがあります。

その言葉は、うつ病の人にとってかなり突き刺さるものだと思っています。

薬を飲んでも休んでも治らないなんて、私はダメだ、と負のループに陥れてしまうからです。

私のうつ病治療は、まだまだ時間がかかりそうです。



私が伝えたいことは、周りが羨むような環境下にいる人でも心の病を患う可能性があるということです。

そして、その人たちに対して、「私のほうがつらい」という言葉を、決して発さないでほしいです。



わけもわからず、海の底をさまよっている人がいます。

でも、その海の暗さや深さの感じ方は、人によって違います。

うつ病の人のさまよっている海が浅く見えても、自分の方が深い、とは、言わないであげてください。

うつ病の人にとっては、そこが一番つらい海かもしれません。



この記事を読んでくださっている方の中には、うつ病や同様の症状と闘っていらっしゃる方がいるかもしれません、一緒にがんばりましょうね、いやがんばらなくてもいいや、成り行きに任せて、ゆるりゆるりと生きましょうね。

私も、もう少し大らかに、マイペースに、毎日を過ごしたいと思います。

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