子どもたちの学習の過程 ~話し合い活動において~
1 話し合い活動とは
この記事でいう話し合い活動とは、
のことです。
2 話し合い活動での学びの過程が気になる
最近話し合い活動をさせていて気になるのは、
グループで答えを出すというのはできるが、そのときどのような相互作用が起きているのだろうか?
その相互作用は、どのような過程だろうか?
です。
3 話し合い活動における相互作用
学習課題を解決するためには、段階があり、それをレベルと呼ぶことにします。
三宅(1985)によると、話し合い活動では次のような様子が
見られたと報告されている。
この図のポイントは、オレンジ色のひし形のところです。
学習課題に対して、AさんとBさんは話し合っているように見えて、実は相手の意見を聞き入れるのではなく、自分の既有知識や経験から、自己内対話をして、自分の考えを自分で批判しながら、結論まで行きついているということです。
では、話し合い活動の意味はないかというとそういうことでもないということです。
図2でいうと、Aさんが結論に至っています。でもBさんは結論まで至っておらず、レベル2だったとします。このときにBさんからAさんの結論に対して批判(質問)が出ると、Aさんはさらに深い理解(レベル4)に至ることができます。(Aさんの既有知識や経験からは、自分の出した結論を批判できないから)
このように、レベルが浅い人からの質問は、理解を深める可能性があると三宅(1985)は報告しています。
4 話し合い活動の役割分担
話し合い活動で、より良い結論(結果)を導くには、課題遂行係とモニター(監視)係に分けると良いと報告されています。
モニター係からは、課題遂行係よりも、飛躍した批判(質問)が発せられて、理解が深まるようです。
他にも役割分担で、よくあるのは単純に課題をA領域とB領域に分けて、最後につなぎ合わせるというのもありますが、あまり良い結果は出なかったらしいです。
5 疑問
さて、三宅(1985)の報告を読んで、いくつか疑問があります。
1つ目は、話し合い活動を正しく機能させるグループの構成員の決め方です。
例えば4人のグループを作る場合、学力的に高い生徒から低い生徒までを選んだ時、学力が低い生徒が意見を出さずに、高い生徒の意見を無条件に聞き入れたり、教えてもらって終わりとなりそうです。
そうなってしまうと意味がありません。
グループの構成員をどう決めるかは、研究した方がよいと思います。
2つ目は、生徒1人1人が、自己内対話の過程を正しく認識して、それを基に他者の意見を適切に批判させる授業での工夫です。
この力をつけさせるには、話し合い活動をするときの学習プリントの工夫が必要でしょう。
6 最後に
今回の記事で参考にした文献の著者、三宅なほみさんは「知識構成型ジグソー法」の発明者です。この学習法についても、今後勉強していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。