宙わたる教室 9話感想
科学の前では誰であろうとみんな平等なはずですよ
今回の話を見た人なら間違いなくこのセリフが胸に刺さって離れないだろう。私もそんな人間の一人だ。
科学とは言わず、学問は本来どんな人にも平等に開かれるべきであり、その人が置かれていた環境や派閥といった外部の要因で排除されるようなことはあってはならないのだ。
それでも、生きていくうちにそんなのは綺麗事で夢物語だということを嫌というほど思い知らされる。
ただ、藤竹先生はそれを空想の話として終わらせることがなかった。自分のキャリアに傷をつけてでも科学を志す人全員を救うために戦った。
今まで感情をあまり表に出さず、科学部の面々を後ろから支えているだけだった藤竹先生が、初めて自分の内面や過去を打ち明けた。
研究室を辞めるに至った経緯や定時制の教師を目指したきっかけ、そして科学部を創設した本当の理由。
最初は科学部を利用して藤竹先生の理想を叶える実験だったとしても、科学部のみんなと研究や実験に没頭していた時の藤竹先生の好奇心やワクワクは本物だし、みんなと過ごす時間が楽しかったという言葉には嘘偽りない。藤竹先生も科学が好きだからこの科学部に存在しているのだ。
このドラマのすごいところは、科学部にとっては脅威だった、いわゆるヒールの三浦をも作中で掬い上げるところだ。
彼も彼なりに身寄りがなく柳田たちと必死に世間に喰らい付いてきた中での仲間との訣別。裏切られた失望や怒りが募っていたのだろう。
そんな彼も柳田の言葉で救われる。
誰一人として絶対に置いていかない。それは藤竹先生の強い信念であり、ドラマとしての強いメッセージだ。ドラマを通して何度も丁寧に我々視聴者にそう語りかけてくれる。だからこそ私たちはこのドラマに夢中になっていくのだろう。
あと一回でこんな素敵なドラマが終わってしまうなんて、信じたくない。