前回では介護を楽しむためにはどうしたらいいか書かせていただきました。
なんでそういう考えになったかを記事にさせていただきます。
私が新人時代に関わったU様(女性)のお話をさせていただきます。
U様はアルツハイマーという認知症をもっていましたが他の病気はない人でした。
なんで入居しなきゃいけないことになってしまったかというと金銭管理ができなくなってしまった、家での生活ができなくなってしまったという理由です。
入居して混乱なく過ごせてましたがU様が愛用している化粧品が安物に変わっていることにU様は気づき、「なんで!?娘に電話する!」と激怒し、施設をでて愛用している化粧品を買いに電車に乗ろうとしました。
私はこの時思ったことは買えるか買わないか別として行ってみようと決心し、一緒に行きました。
どこの駅かどこの場所で買ったかも把握していて、本人の言われるままの行ってみると目的の化粧品売り場に着きました。
高価なものであったため、手持ちのお金ではとても足りず買えませんでした。
店員さんが優しくサンプルは下さり、U様は「しょうがないわね」と落ち着きました。
その後、U様は「付いてきてもらってごめんね。コーヒーでも奢ってあげるから」と行きつけのコーヒー屋さんに案内してもらい、コーヒーをご馳走させてもらいました。
「コーヒーをスプーンで混ぜてからミルクをいれると美味しいわよ」と実際に見せてもらい、本人はコーヒーを美味しくいただいてました。
一緒に施設に無事戻っていただきました。
なんで化粧品が安物になってしまったか娘様に確認すると貯金を全部これまで使ってしまい、残りのお金が少ないという理由でした。
現実的に買うことが難しいという現実に直面してその時ユニットで考えたことは
⒈化粧品を買えなくても毎月U様の愛用している化粧品売り場近くで外食をしよう。
⒉U様の愛用している化粧品の店員さんにU様の状態を説明し、サンプルをいただけるか交渉しました。
U様はよくそこに買い物をしていたお得意様でして、店員さんに了解をいただけました。
U様への対応についての本を作っていただき、店員全員が知れるようにしてくれました。
⒊コーヒーが好きであればコーヒーをティータイムに用意する。コーヒー豆を挽く機械とミルクを泡立てる機械を買い、施設にいても高級なコーヒーを提供しました。
これらの事をやり、安価な化粧品に対し、怒る事はありましたが説明をすると納得していただきました。
それから一年も経ち、U様はコミュニケーションがうまくできなくなり、化粧品に対し、怒ることもなくなり、こだわりがなくなってしまいました。
あの時、一緒に買い物に行ったことがよかったと思ってます。
U様が好きだったもの、行きつけのお店にも気がつかずに認知症がすすんでしまっていたかもしれなかったのです。
⒈利用者の発言に対して真剣に耳を傾けること
⒉U様の行きたいところにまず行ってみること
⒊施設にいてもU様の楽しみに繋がることを見つけること
⒋施設外の人にもU様の状態を説明し、理解してもらい協力してもらうこと
が大事であるということに気が付きました。
認知症がすすんでからでは遅いです。
本人のしたいことがあるならば真剣にどうするか考え、実践しましょう。
皆さんの参考になれたら嬉しいです。