見出し画像

【経営メモ】コンプライアンスについて

今日は企業のコンプライアンスについて書こうと思う。

1. 企業のコンプライアンスマネジメントとは

企業のコンプライアンスマネジメントは、現代の企業経営において、その重要度が増している。

コンプライアンスとは、「法令遵守」という意味で、コンプライアンスマネジメントとは、企業が法令や業界規則、倫理基準、社内規程などを遵守して業務を行うための体制やプロセスを構築、運営することである。

昨今、不正や違法行為による企業の不祥事が社会的に注目され、企業の信頼が大きく損なわれるケースが増えたことから、企業は単なる利益追求にとどまらず、社会的責任や倫理観を持った経営を求められるようになっている。そのため、コンプライアンスマネジメントの遵守は、企業が持続的に成長するための重要な経営課題の1つとなっている。

コンプライアンスマネジメントが大切だということが、分かっていても、規模の小さい会社であれば、そのために大きなリソースを割けないというのが実情だと思う。

以下が、私が提案する、簡易型コンプライアンスマネジメントとなる。お金をあまりかけない代わりに、社長やマネジメントが多めに神経を使うというものとなる。

2. 悪い話しを聞いた時に、まずは「ありがとう」と言う習慣を持つ

社長やマネジメントクラスの人間は、部下から悪い話しや情報が上がって来た時に、まず「悪い情報を(言いにくかっただろに)シェアしてくれて、ありがとう」と反応するのが重要である。

日本はそもそも、社長や上司を敬う文化。(「権力格差のある社会 」by  ヘールト・ホフステート)部下が悪い情報を上司に報告する時には、上の人に迷惑をかけてという負い目を乗り越えての報告となる。

そこのところを、予めちゃんとくんであげて、悪い情報が部下からシェアされた時には、その内容が深刻であっても、まずは、「ありがとう」という姿勢を示すのがとても大切である。

特に、気をつけなければいけないのが、部下が基本的なミスで、何か会社に損害を与えたような場合、頭ごなしに、「バカだ」とか「何をしているのだ」とか、延髄で反応してはいけない。

酷い罵声が浴びせられたり、大きな声で怒られたりという事が、オフィス内で繰り返し行われると、あっという間に、現場で起きた悪い事は、スムーズにマネジメントに上がって来なくなる。

悪い情報を部下が報告する時の、上司の態度というのが、会社の文化に大きな影響を与える。もし、それが社長であれば、決定的なインパクトを与えることになる。

悪い情報に、上司がどなり声をあげる文化の会社では、悪い事が起きた場合に、タイムリーにマネジメントに報告が上がらなくなる。代わりに、現場レベルでどうにかリカバリー(修復)できないかと行動する。最悪の場合は、昨今よく発覚しているが、現場で都合の悪いデーターを改ざんして、隠蔽してしまう。

結果として、会社にとっては、より大きな損失を被ることとなる。その段階になって、初めて知ることとなるマネジメントは、「どうして、現場の人間は、もっと早くに相談にきてくれなかったのか」と悔しがる。

しかし、多くの場合、日常的にマネジメントが延髄反応を繰り返すことで、「上司は悪い報告を嫌うから、できるだけ報告しないほうがよい」という会社文化を自ら生み出しているのである。

ちなみに、エラーをして会社に損害を与えたしまった社員への対応だが、人を悪く言うのではなく、エラーにフォーカスをして、再発しないような仕組みを考えるというのが基本である。

あたりまえだが、人間なのだから、時には信じられないくらい間抜けなエラーをしてしまうものである。それは自分の事を振り返れば簡単に分かるはずだ。

しかしながら、何度も同じような過ちを犯す社員がいるというのであれば、それは、特別にマネジメントとして、その社員と向き合わなければならない。 その場合は、以下の記事を参考にされたい。

3. SNSなどを活用して、直接、顧客の声が社長に届くようにする

B to C(消費者向け)のビジネスをしているのであれば、社長がSNSに連絡先を持つというのは、コストをかけずに、顧客の声を直接聞くことができる優れたツールとなる。

ツイッター(現 X)やインスタで著名な人と同じような発信をする必要は全くないが、LinkedIn若しくはFBに登録しておくのは、よい方法である。

そうすることにより、通常の顧客タッチポイントでの対応や処理に、納得のいかなかった顧客の声が、SNS経由で直接社長に届く。
(顧客の声が届いた場合、社長がSNS上で直接返信をしてはいけない。顧客担当の部署から別途連絡を入れるようにする)

内容的には、顧客の要求が過大なケースもあるが、会社側の対応のまずさを指摘する内容、会社の対応が間違っているケースなども含め、顧客の声には、経営改善となるようなヒントがよくある。

例えば、自社だけで完結せずに、その間に入っている物流業者だったり、販売業者に関するクレームもあったりする。全てを鵜呑みする分けにはいかないが、内容によっては事実確認をして、将来のベンダー選択の参考にすることができる。

そして、何よりも、社長、若しくは、マネジメントが顧客のクレームを直接受け、自分の目でその内容を読むという機会がある会社では、マネジメントと、顧客対応部隊が直接会話をすることが増える。

そうした会社では、顧客目線の会社文化が醸成されやすく、顧客対応部隊の肌感覚と、マネジメントのそれがすり合わさった形となり、顧客クレームが炎上するというリスクを避けることができる。

別の記事「顧客の声が経営に取り入れらているか」も参照されたい。

4. コンプライアンス ホットラインの設定

社員の数が100名を超えるようであれば、社内コンプライアンスに関するホットラインを設けるのが理想である。

社外の法律事務所などのサービスを活用して、通報者が、いきなり会社のマネジメントと対面する必要がないような仕組みを用意するのがよい。

私の社長経験では、大きいものから小さいものまで、私が担当した全ての会社でコンプライアンス案件が発生した。

社員が未熟で、社内ルールや、社会のルールが良く分かっていなかったというケース、普段真面目な社員が出来心で窃盗をするケース、ベンダー(出入り業者)に誘惑されるケース。優秀な幹部が手を染めるケース等、人間社会なので、想定外な案件が起こるものである。

ルール違反や窃盗に関わるようなものに加えて、最近では、パワハラ、セクハラ、マタハラ、モラハラ等の多種多様なハラスメントも社会問題となる時代である。

第三者に通報できるホットラインを設けることで、社内でこのようなコンプライアンス案件が発生した際、いち早く情報を把握し、迅速に対応できる可能性を大幅に高めることができる。

会社の目につくところや、イントラサイトに、ホットライン連絡先を常に告知しておくのがよい。悪い行いをしようとする社員への抑制に少しはなる。ある意味、現代においては、会社のお守りである。

5.社長がルールをないがしろにしていないか

社内ルールを社員が正しく遵守するかどうかは、社長及びマネジメントが、率先して、ルールを正しく遵守しているかどうかに大きく影響される。例えば、社員に対してベンダーからの贈り物を禁止としているのであれば、社長も一切贈り物を貰うべきではない。

コンプライアンスのセンシティビティが高い、欧米の国であれば、そもそも、ベンダーが高価な贈り物をしてくることは少ない。法的アクションへのハードルが低い国では、法的ペナルティを受けて、仕事を失うリスクもあるからだ。

しかしながら、アジア等の国では、まだまだ贈り物の文化が残っていたりする。その場合も、社長は個人的な贈り物は一切受け取るべきではない。それくらいの覚悟をもって、ベンダー対応をして、やっと社内へのメッセージとして認識されるかどうかである。

社長がたびたび、高価なお酒や贈り物をもらっているようでは、社内のコンプライアンスは守れない。社長が思っている以上に、社員は社長の行動をみているものである。


いいなと思ったら応援しよう!