愛及屋烏
【愛及屋烏(あいきゅうおくう)】
__相手を愛するあまり、その家の屋根にとまっているカラスさえも愛おしくなること
これは、私の一番好きな四字熟語だ。
実際これは私を表している。
彼自身だけではなく、
彼の荷物の何から何まですら愛おしく感じる。
愛が重いと言われるかもしれないが、
本当に全てが愛おしくなるのだ。
彼のバッグに付くキーホルダーすら。
彼の来ている服のチャックすら。
彼の服に付く猫の毛すら。
すべてが愛おしい。
彼を構成する全てが、
私を幸せにする。心が温かくなる。
彼はやさしい。
23:00に終わるバイトの後に、迎えに来てと言ったら街のど真ん中でも来てくれる。
それは便利だから、という意味じゃなくて
私に会いたいから、役に立ちたいからと言って
どんなに遅くても愛を持って来てくれるからだ。
自分から呼んどいて、
車の中、申し訳なさで大号泣したあの日には
1時間以上も公園で慰め続けてくれた。
慰め方も、
慎重に、私が不安にならないように
徹底した言葉選びで
私の全てを肯定してくれる。
かわいい。
えらい。
よくがんばったね。
そういうところがいい所だと思うよ。
こうやって私を
スーパーネガティブモードから
ポジティブの波に引き戻してくれる。
すぐにネガティブに走ってしまう私には
全て肯定してくれる彼の存在は大きい。
今まで、身近に小さなことからすら肯定してくれるような存在が私にはいなかった。
全て否定され、貶され、
それによって完成した自己肯定感の低さで
自己否定に走り、
私は"自信"に蓋をした。
そうして私は自責的な考え方しかできなくなった。
でも、彼はそれをいい所だという。
正確にはいい所でもわるい所でもある、と。
「どんなことでも人に責任を押し付けず、
自分のせいにしてしまうやさしさはいい所だけど、自分のせいにする必要も無いところに責任感を感じてしまうのは直して欲しいかな」
そう、彼は言った。
私の自責は決してやさしさから来るものではなく、自己肯定感の低さから来るものだが、彼はそれもやさしさだという。
また、私の責任感の強さだという。
私はそういう彼に対しても
言わせてしまっているのではないかと
どうしても申し訳なくなってしまう。
だが、それが彼の言うことなら甘んじて受け入れよう。
何故かって、
【愛及屋烏】
彼の言葉すら愛しているからだ。
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