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“新書が沼なら本屋はブラックホールか”《マガジン“新書沼にようこそ” vol.15》

『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』/嶋浩一郎

■アイデアは「想定外」の出会いから生まれる
「情報も本も、ネットでなんでも手に入る」そうは思っていませんか?けれどもネットだけで
は、人を超える発想はできません。
著者は、自ら書店の経営にも携わるクリエイティブ・ディレクター。広告の世界だけでなく、ビジネス全般で必要とされる企画力や斬新なアイデアのヒントは、本屋にあるといいます。いい本屋の書棚は、単に知りたかったこと以上の「想定外」の情報に出会える、すばらしい装置なのです。「書棚を旅するようにめぐる」「買った本は、読まなくてもいい」など、人生を面白くするための、本と本屋の使い方を大公開!

“表紙そで”より

本屋大賞の立ち上げに関わったという著者。
読むと本屋へ行きたくなる。

ただし地方都市の哀しさ。
一応、書店がないわけではないですが、都会の大型書店やオシャレブックカフェをネットなどで見るにつけ、憧れて止みません。
素敵なリアル本屋が近くにある方々、是非毎日でも行って下さい!
こんな素敵なテーマパークないですから!

本書でもリアル本屋の利点が余すところなく語られます。

リアルな本屋があるべきいちばんの理由は、「人間はすべての欲望を言語化できていない」ということが根本的なところにあります。

p42

そうした欲望の言語化、もっといえば欲望の発見という機能が、リアル書店最大の強みであり、必要な理由なのです。人が自分の欲望をすべて言語化できるというのであれば、グーグルとアマゾンがあれば事足りてしまいます。しかし、言語化できないものは検索することもできません。

p46

アマゾンなどのネット書店の強みを一言で表現するなら、「欲しいものが見つかる」、逆にリアル書店の強みは、「何が欲しかったのかがわかる」ということになるでしょう。

p48

本屋さんの役割で、もう一つ大きいのは、自分の興味が世の中全体の体系の中で、どこにポジショニングしているかがわかるということです。

p52

いわばネットは、ルーペを持って森の中から一本の木を探すようなものです。「木を見て森を見ず」のリスクはあるけれども、やはり見つかりやすい。本屋は、森全体を見渡す地図のようなもので、買った本や探している本の、世の中における「相対的ポジション」がわかります 。

p53

まぁ、もはや活字中毒が高じた自分などは、世の中のちょっと気になるものがあると、「これ(本で)読みたい!」となり、すぐネット検索→関連書籍検索→購入!なっているため、もはや世界が本棚状態。

さて著者嶋氏の、本を買うことや積読についての考えはというと次のように述べられています。
(引用多いですがご了承下さい)

本屋に行ったときに、まず心に留めておくべきこと。それは、本との出会いは「一期一会」だと思え、ということです。その一期一会を逃さないために、少しでも気になった本はすべて買ってしまってください。

p68

必ず買ったほうがいいというのは、何もあとで読むためにという理由だけではありません。本を買うという行為は、この情報が欲しかった自分を「マーキング」するということでもあるからです。

p69

ですよね!援軍来たり!
と言っていいのかわかりませんが。

まぁ、結果、読みたい本は増えます。
もはや増殖。

リアル書店なら、まだレジに行くまでに本の重さを感じるからいいけれど、ネットでポチると質量なく、一瞬なのですよね。前にもどこかで言いましたが、実際に届いた時に自分が1番その量にビビります(特に古本で文庫だと思っていたものが、単行本だったりするともう目も当てられない…)

というわけで、増えまくる積読なのですが、そのことについて、嶋氏は以下のように語ります。(またしても長い引用になります。ご容赦ください。)

そんなに本をたくさん買っても読みきれない、と思うかもしれません。でも、結論からいってしまえば、読まなくていいのです。
「積ん読」という言葉があります。文字どおり、買った本を読まないでそのまま書棚や机の上に積んでおくことです。この「積ん読」状態に罪悪感を覚える人が多いようですが、私にはそれが信じられません。罪の意識を感じる必要なんて、まったくないからです。

p70

積ん読を否定的にとらえることはありません。積ん読しておくことは、ほうっておいているように見えて、実はすごく意味のあることなのです。
そもそも世の中には「本を買ったら全部読まなければいけない」という神話というか信仰のようなものがあるようです。本を神聖なものとして、一から十まで読んでその内容を汲み尽くさなければならないという思い込みは、悪しき風習です。
あるいは、せっかくお金を出して買ったのだから、全部読んで吸収しなければ損であるという「モッタイナイ」精神。これも余計なものです。こうした「モッタイナイ」精神を持っていることが、逆にもったいない。
こうした「全部読まなきゃいけない」神話は、いますぐ捨て去るべきです。本を買ったからといって必ずしも読む必要はありません。基本買ったら終了、読むところがあったら儲けもの、くらいの気持ちで臨むと、いくらか気が楽になるのではないでしょうか。

p70-71

これについても
我が意を得たり!
と思う気持ちと同時に、相手は著述や本に関することが仕事なんだよ!という自主ツッコミも感じますが…

著者のこちらのエピソードが好き。

本好きにとって、本棚のスペースは常に悩みの種です。
こうして毎日本を買っていると、やはり本棚はすごいことになってきます。
いまの自宅を建てるとき、妻に「床は全部あげる。代わりに壁をくれ」といいました。妻はなにをいわれているのかわからないわけです。そして、建築家には「壁を全部本棚にしてください」と注文しました。できあがったのを見て、妻が怒ったのはいうまでもありません。
けれども、それだけあったはずの本棚にも、だんだん入りきらなくなってしまいました。余談ですが、以前、妻に「一〇〇冊捨てなさい」といわれて、しかたなく吟味に吟味を重ねて、一ヵ月くらいかけて捨てる一〇〇冊を選びました。
すると、それを見た妻が激怒するのです。というのも、選んだものはすべて彼女が買った本だったからです。言い訳みたいですけど、それはわざとではなくて、優先順位をつけていった結果、気づいたらそうなっていただけなのです。

p93

そりゃ、怒るわ、笑。
ちなみにうちは一応、本棚を半々に分けているのですが、徐々に自分の本が侵食しています…
ごめん…

でもでも、やっぱり本も読書も素晴らしいものなので、以下の言葉を引用しておこうと思います。

読書は違う時代、違う国、違う人物に一時なることができる、いわば究極の「旅」なのです。
読書のような目的も成果も定かでない体験をしないと、人は自分の知らないことにたどり着けません。だからこそ、人は旅を繰り返すように、今日も読書をするのです。

p124

さぁ、本屋に出かけましょう!

ちなみに今回こちらの本を読み返したのは、↓の本を手に入れたことがきっかけです。

装丁が変わっていて、思わず購入してみたら、著者が、今回紹介した『なぜ本屋に行くと〜』でも対談されていた方でした。

こちらでは本屋の裏側なども知ることが出来ます。
そう言えば子供の頃の夢、本屋さんだったなぁ…。


最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ素敵な読書生活を👋📚

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樹田 和(いつきた なごむ)
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