お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』 レポート②
さて、前回に引き続き、8月11日・12日に開催した、お盆前の読書会『不在と永遠、詩と物語』のレポートです。前回の記事では、私が紹介した本をご紹介させて頂きました。本記事では第1日目、8月11日に参加者の方々にご紹介頂いた本を紹介させて頂きます。
今回の読書会は、喪失や詠別をテーマとし、様々な本をお持ち頂きました。そして、本を紹介して頂き、参加者はできる限り、その場で読んでいくというスタイルの読書会としました。読んだ上で感想を交わす楽しみもあるので。それでは、本のご紹介。
※なお、参加者の方々にご紹介頂いた本、私がちゃんと読めていない本については、簡潔な紹介文とします。なるべくご紹介頂いた方が話されていたことを思い出しながら書きますが、誤った内容を書くと良くないので。
漫画家カシワイさんの『光と窓』は、様々な作家の短編作品を漫画で表現した作品。小川未明、須賀敦子、草野心平、新美南吉、宮沢賢治などの作品がカシワイさんの新鮮な解釈と表現力で描かれています。安房直子『夕日の国』は、少年とどこかミステリアスな雰囲気の少女の出会いと別れを描いた不思議な物語。『夕日の国』は、安房直子童話集『風と木の歌』に収録。私はカシワイさんの『光と窓』の中で、新美南吉『ひとつの火』が深く印象に残っています。静かな祈りのような作品です。
アントニオ・タブッキはイタリアの作家。『逆さまゲーム』は葬送と幻想、郷愁が描かれた短編のようです。タブッキはポルトガルの作家・詩人フェルナンド・ペソアを深く敬愛し、ペソアになり切って作品を書いた作家。この本の他に『レクイエム』という作品もあり、この世を去った人々にずっと聞きたかったことを質問し、語らい、最後の別れを告げる作品とのこと。
本を愛する少年は、母親を病気で亡くしてしまう。孤独になった少年は本の囁きが聞こえるようになる。そして、ある日、死んだはずの母の声に導かれて幻の王国に迷い込む。様々なおとぎ話の登場人物たちが登場する王国で繰り広げられる異世界冒険譚。こちらは今回出店して頂いた移動書店ハリ書房さんからのご紹介。あらすじを聞いていたら、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』さらに、宮崎駿監督の最新作も思い出しました。
また、幸田文の『父・こんなこと』という随筆も参加者の方からご紹介頂きました。父・幸田露伴が日々死に向かってゆく姿、日常の機微を記録した作品とのこと。露伴が亡くなってから、文は露伴が厳しく言い命じたことの様々な真意がわかったという話もして頂きました。ご紹介頂いた方は急遽ご参加で、本はお持ちでなかったため、書影はないですが何卒ご了承ください。
さて、8月11日にご紹介頂いた本は以上です。喪失や詠別をテーマに本をご紹介頂くのは、難儀なことかなと思いましたが、様々な本をご紹介頂けて、大変感謝しています。第2日目の12日にもまた様々な本をご紹介頂いたので、次の記事もぜひお読み頂けたら幸いです。
最後に今回、店の前でご出店頂いた移動新刊書店ハリ書房さんのご出店の様子を。照明が美しく、暗くなってからの雰囲気もとても良かったです。