組織開発に関する必読書紹介
はじめに
今回は大企業の"組織開発"プロジェクトに関わる事務局の皆様に是非読んでもらいたい本(以下、本書)について私の感想を書いていく。
実務的な内容もあれば、手触り感のある「事務局と経営陣」、「事務局と現場」の対話も文中にあるので是非読んで頂けたら。
また、別記事で紹介しましたが、是非こちらの本も読んでみて下さい。
それでは、個人的に刺さったポイントと私が所属するwevoxというエンゲージメント測定ツールの仕事を重ねて書いていく。
組織開発をしかけるタイミングの大切さ
まずは組織開発をしかけるタイミングについて。
本書によれば、「平時の組織変革」、つまり、「業績は好調」だが「組織は低調」という状況でより効果を発揮するとある。業績不振で経営が傾いている状況では、組織開発の出番はなく、その場合は「有事の組織変革」、つまり、チェンジ・マネジメントやリストラが求められる。
したがって、戦略がうまくいっているときにこそ、将来を見据えて組織開発を行うべきで、「当事者が生まれやすいタイミング」で実行するのが重要だ。
具体的には、「中期経営計画(中計)の策定」や「創業記念」や「トップ交代」のタイミングが良いという。
このタイミングに関して、事務局を支援する立ち場の私からしても、とても納得感のある内容だ。
とあるお客様と「創業100周年で今後の〇〇株式会社をどうしていくか?というコンペがあり、組織開発プロジェクトがコンペで優勝してキックオフ出来そうです」という話をしたことが私自身もあるし、業績が芳しくない会社にいると「まずは売上だ」という話になるのは原体験としても理解出来る。
この話の肝は「当事者が生まれやすいタイミング」かどうかと思っている。
我々wevoxでは、「自分の半径5m(仕事で相互依存関係にある関係)」をチームと定義している。
我々はチーム(自職場)を変えらえると信じているが、それはジブンゴト化しやすいからとも言える。いきなり、数万人の組織を変えるのは難しいが、自分のチームなら変えられる。
「当事者が生まれやすいタイミング」は組織開発プロジェクトを円滑に進める為の肝であり、逆に言えばチャンスを逃さずにプロジェクトを進めていこうぜってことだと思っている。
課題の分離 〜それは"技術的課題"か"適応課題"か〜
本書によれば、組織開発が扱う問題のほとんどは適応課題という。
"技術的課題"と"適応課題"の説明を本書から図版出典させて頂く。
技術的課題は、問題が特定が出来、解決方法がある課題だ。
適応課題はそうではないから、とてもむずかしい。
我々wevoxチームでは、適応課題を人と人との関係性の問題とも捉えている。
人の関係性の問題となると、「Aさんが悪い」とか「B職場はなぁ」とか話になりがちで、なかなかジブンゴト化しにくい時がある。
そのため、問題を擬人化するアプローチをとってみている。問題を"おばけ"のせいにするのだ。ちょっと資料を公開。
現在、27種類のおばけが発見されている笑
あなたの職場にもおばけがいると思うので、おばけ退治を一緒にしていこう。
組織開発の原則 〜全社規模の組織開発は「トップからはじめよ」〜
本書によれば、組織開発の原則は以下。
・経営トップから始める
・各層のコンセンサス
・当事者主体
事務局は経営TOPをスポンサーに据え、経営TOPの後ろ盾を得る必要がある。組織開発を全社に展開できるかどうかは、「この話は誰が言ったのか?」にかかっているためだ。
社長、役員、部長というタテのラインのコミットメントを確保していくため、「トップから始める」ことが鉄則。
また、各層のコンセンサスが必要な背景を本書から図版出典して説明する。
(権威と意思決定のグローバル分布という観点から説明があり、個人的な納得感が高かった)
要は、日本は「権威では階層意識がきわめて強く、意思決定では合意形成をとても重視しており、各階層で合意が形成されていないと日本企業では実際の変化が起こりにくい」ということだ。
そして、当事者主体。本書によれば、部長たちこそ、組織開発の一丁目一番地。
日々の会社の数字を実質的に担っているのは部長層であり、強固な自負と価値観に根ざして仕事をしていて、彼らが組織の司であり、現場の暗黙のルールや作法を生み出している。
極端に言えば、組織開発は部長が変われるかどうかとも言える。
適応課題を解決するには、自分の価値観や仕事のやり方の一部を手放し、新しい能力を獲得することが不可欠で、「部長たちが変わる」ように支援するのが事務局の使命だ。
この話はとても共感が出来るし、実際にとある会社の事務局の方から聞いた話と重なる。
その会社では、組織開発プロジェクトをキックオフする時に「社長 → 役員 → 部長 → 現場」の流れでとても丁寧にwhy(なぜ本プロジェクトをやるのか)等の対話を重ねていった。
そして、事務局は「組織開発プロジェクトの責任は誰が担うのか?」という問いを常に立てていたという。尚、組織開発チームは組織を担う部長の責任と伝えてきた。
実際には、経営TOPの後ろ盾を得ているので、経営のコミットメントや責任は当然発生するが、部長陣にジブンゴト化してもらうストーリーとして、とても良い話だなと思っている。(まさにトップダウンとボトムアップがミートする感じ)
組織開発プロジェクトの全事務局が学べる 〜事務局運営のポイント〜
本書が参考になりすぎて色々と書きすぎてしまうので、これ以上は書かないようにする。本当に読んでもらいたい笑(しつこい)
事務局運営のポイントがたくさんあるのだが、私が5つ厳選して紹介する。
事務局運営のポイント①:事務局構成
本書によれば、事務局構成からわかる本気度があるという。組織の各層を走り回って、組織のなかの空気感を肌で感じ、風を読むのが大切。オススメの事務局構成は以下。
・担当部長クラス(役員と同等に話ができる)
・中堅課長クラス
・若手メンバー
事務局運営のポイント②:対話のプロセス
経営TOPのコミットメントを得るには、対話のプロセスを意識することが重要。
1.現状の認識をすりあわせる・・・好業績の陰で、組織のどこで、どんな問題が起きているのか?
2.リスクシナリオを提示する・・・このままだと、何が起こりそうか?
3.組織課題の本質を見極める・・・「経営への信頼」が揺らいでいないか?
4.組織開発のプロジェクトを提案する・・・どんな打ち手が必要なのか?
5.トップの想いを引き出す・・・従業員にどんなメッセージを伝えたいか?
事務局運営のポイント③:人が本気になる内面の循環
人が本気になるのは「本音を語る」→「本心に気づく」→「本気になる」。(本書から図版出典)
事務局運営のポイント④:経営への信頼≠経営者への信頼度
経営への信頼は「直属の上司への信頼、部門長への信頼、経営陣への信頼の三要素から構成」されている。
組織開発プロジェクトの肝は、この信頼の連鎖がどこで切れているのかという点にある。信頼の連鎖が切れている階層が、組織開発の一丁目一番地。
事務局運営のポイント⑤:変革ストーリーの構成
まさに『サイモン・シネック氏の「Start With Why」』と言える。
また、本書では、「PDCA」から「QPCA」へということで、「指示・命令・管理」から「共感・納得・信頼」が大切だとある。
おわりに
wevoxは順調に導入企業・組織が増えており、1,550超ご参画(参照:アトラエの2020年9月期 第3四半期決算説明資料)頂いている。
私自身もSaaSのエンタープライズ担当として、直近では以下のような組織開発プロジェクト(リンク先はプレスリリース記事)に関わらせて頂いている。
このような実体験からも本書は学びがたくさんある。
私に1ミリも売上は立たないが、激しくオススメする。これがエンゲージメントか笑
最後にBiz/Zine(ビズジン)さんでも良記事の特集をされているようなのでご紹介!
それでは、大手企業の事務局の方はもちろん、組織開発にご興味ある方は是非お話しましょう!
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