#281 コミュニケーションの「守破離」の「守」。今すぐ始めたい「相手思考」
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
昨日も少し言及したのですが、生成AIのような便利ツールはドンドン活用して、人が本質的にやらなくて良いものは機械に代替してもらい、人は人が本質的にやるべきところに集中できるようにすることは良いことだと考えています。
現在は、生成AIが注目されていますが、ちょっと前であればRPAとかですかね。これまでのビジネスプロセスそのものを変える道具が世の中に登場して一般的に使えるようになってきたステージで、毛嫌いせずにとにかく自分で使ってみて「それが使えるか・使えないか」の視点ではなく「どう使えるんだろう?」の視点ではじめから試してみるのがとても大切。
一方で、どれだけ便利ツールの活用が注目されているところでも、やはり変わらないベーススキルってあると思うんです。
日常生活・仕事などあらゆるシーンにおけるコミュニケーションスキル。
スキルと言うと、小手先でどうにかなるもの、みたいなニュアンスも個人的には感じるので、極力使わなくて良いのであれば使わないようにしているのですが、センスと違って誰でも習得できるものと考えているので「コミュニケーションスキル」と呼んでいます。(スキルとセンスの使い分けは以下記事で言及しています)
あらゆるコミュニケーションスキルのベースを成しているにも関わらず、なかなかできている人が多くないと感じているのが「相手思考」です。
最近では、「他の人にどう思われるかよりも、自分がどうしたいかが大事!」と言われることが増えてきましたね。これ自体は本当にその通りだし、人生における日々の選択でも仕事でも「自分がどうしたいのか?」ドリブンで考えることが出発点だと考えます。
しかし、その「自分がどうしたいのか?」を実行する過程で、誰かの協力を得たり、他人に行動してもらうことが必要な場合、その「実行力」の共通的な基礎にあるのが「相手思考」です。
やることの源泉は「自分思考」としつつ、実行フェーズでは「相手思考」をクロスさせる。これが鉄則になるのですが、実行フェーズにおいても「自分思考」だけ貫いていたのでは、ただの実行力がない人です。
いくつか事例を出しながら、コミュニケーションにおける「相手思考」がどのようなシーンで必要か、深掘りしていきます。
資料を見ると「相手思考」かどうか一発で分かる
昨日の記事の補足ですが、私は社内外問わず、様々な資料を日常的に目を通す機会があります。もちろん、自分で手を動かして作ることもあります。
資料作成の目的も、その資料の受け手の行動を促すためのコミュニケーションツールの一つであると捉えるのであれば、その資料の最終的な受け手(=つまり、資料作成を依頼した人ではなく、依頼した人がその資料を使って説明しようとしている「その先にいる人」)にとって、理解できる単語で書かれているかどうか、ここに資料作成者の「相手思考」レベルを測ることができます。
略語の補記がなかったり、専門用語が並び立てられていたり(もちろん、専門用語が通じる相手であればOKだけど、そうでない人が読む可能性があるものであれば、あえて簡易な表現を選べるのがBetter)、情報量が多すぎて何を判断すれば良いか分からなかったり、資料の受け手が気になるであろう情報が入っていない、みたいな資料であれば、とても「相手思考」による成果物とは言えません。
「これってどういう意味だっけ?」を問うた時に、「あ、これは後ろのこのページのここに書いてあります」は、私基準ではNG。
「相手思考」できているのであれば、相手が最初に読むべきであろう場所にその説明がないと意味がないんです。あるいは「○○ページ参照」というように、参照先を誘導してあげるとか。
あくまで相手がその資料を見た時に「どういう順番でその情報を頭に入れていくか」に思いを馳せる想像力が大事なんですね。そういう意味では、いきなり個別の話から入っていく資料とかもなかなか苦しいです。
人の頭は、基本的には全体を掴んだ上で個別具体の話に入っていかないと、途中で「今何の話してるんやっけ?」となります。そして、そう思われた瞬間に「資料を作った相手にこう動いて欲しい」という資料作成目的の達成確率が下がります。
「相手思考」ができている人が作る資料は、この辺りが非常に絶妙に設計されています。はじめを読めば、この資料を通じて、受け手が何をすれば良いか、何を判断すれば良いかが書いてありますし、スライドのタイトルだけでストーリーが明確になっています。
スライドのタイトル付けって、重要視してない人も多いように感じますが、超大事です。個人的には、スライドタイトルだけ順に読めば、その資料の主張が分かるようになってるくらい最も頭を使うべきところと感じています。
この辺も「相手思考」の観点になるから、資料を見るだけでその作り手がいかに「相手思考」ができるか、もっと言うと、コミュニケーションスキルに長けているのかどうか、が直感的に分かってしまうのです。
物事の進め方にも顕著に出る「相手思考」
これまで100人以上のメンバーからなるチームを率いて、幾つもプロジェクトリーダーの立場で仕事をしてきたため、後輩の育成には多く携わってきました。
そこでもコミュニケーションスキルがあると感じるメンバーと、そうでないメンバーがいたことは事実です。
一緒に何かを進めてみると、顕著にわかりますよね。
具体的な話をさらに何個か挙げてみると、「資料のレビュー日程をいつ設定するか」ということ一つを取っても顕著に表れます。
「相手思考」ができる人は、何かの成果物の作成を依頼した直後に、その成果物を確認する日程のアポイントをすぐに入れてきます。だから、仕事をお願いした方も、「こういう段取りで進めようとしているんだな」が分かるので、安心できます。その進め方だと危険では?と感じた時には、予め補正することができます。
一方で「相手思考」ができない人は、その人の成果物作成作業が完了したところで、アポイントを入れてきます。そのため、直前にアポイントを入れることになるから、予定の調整が難しくなってしまうし、日中の予定が付かなければ、定時後にいきなりアポイント入れてきたりするのです。
急な話への対処のために、やむ無く定時後に打ち合わせしないといけない、みたいなのは応じますが、前から分かっていた話をギリギリになって「予定が取れないんで」と言って、平気で定時後に打ち合わせ入れてくるような人とは、自分は仕事したくないですね。
定時直後は、子どもの保育園のお迎えもあるし、ご飯食べさせたりお風呂入れたりで1日で一番忙しい時間帯なので、相手が誰であっても基本的には私は受けないようにしています。
他にも「メール送り終えた時点で仕事終わったと思っている」みたいな話もそうです。テキストコミュニケーションができることは重要なので「メール+電話」で、みたいな話ではありません。
大小何でもかんでも電話するのも、無理やり相手の時間を横槍で奪っている時点で、「相手思考」とは言えないです。
そうではなく、何のためにやるのかよく分からない仕事をメールしてきて、目的が分からないからやっていなかったら、督促だけ何度もしてくるような人はいませんか?
違う、そこじゃないんだと。その人に必要なのは、なぜそれをする必要があるのか?という目的や事情の説明であって、何度も督促メールを送りつけてくることでは決してないんだと。(目的や事情を聞いてもよく分からなかったら、そんな依頼は無視すればいいと思ってます)
「相手思考」できてないシーンの事例を挙げ出すと、枚挙にいとまがありません。
「自分思考」でやりたいことを実行するために必要なのが「相手思考」です。ぜひ全てのコミュニケーションにおいて、その重要度がもっと注目されてほしいと切に願います。
音声解説
スタエフのほうでも本件音声で補足しておきました!
これだけ「相手思考」できないケースが世に溢れていることを考えると「相手思考」を教える機会自体が少ないことが問題なのかな?とも感じます。だから、日頃から意識してちゃんと言語化して、後輩たちにも伝えていきます。
皆さんの周囲には、「相手思考」ができていない人はいませんか?
もしよければ、こんな人がいて困っている!など、共有いただければ幸いです。
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