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#309 普段と少し違うことをするだけで、横の世界の面白さが知れる

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、先日普段の業務とは少し違った、丸2日間LANケーブルの配線工事の現場に参加した時の気付きをテーマに書きます。

私は、IT業界の会社に勤めていて、これまで特に専門性を高めてきた分野は、アプリケーション開発業務です。
ソフトウェア開発の中でも、よりユーザー側の業務オペレーションに近い部分を開発するところを担当しているため、お客さんの現状の業務フローを理解してシステム化する部分と運用で回す部分を含めて全体のあるべき業務フローを仕様書として定義したり、外部設計とか基本設計という部分になりますが、業務フローをシステムとして実装する際のシステム仕様を定義したりするところを担っています。

もちろん、設計だけではなくて、コーディングして試験して、実際のお客さん側の操作成熟を目的とした研修の企画や、システム移行などをトータルでリスクマネジメントして社会実装されるところまでを推進したり、実際にお客さんと会話をしながら、将来のロードマップを一緒に作成する、ということもやります。

問題が起こらないプロジェクトなんてありませんから、「このように設計されているものが当初思っているように実装ができない」とか「お客さんのキーマンが変わって、元々はこういう方向性でシステム構築しようとしていたのに、色々とひっくり返ってしまった」みたいなこともよく起こります。

ピークで200名以上が関わる大きめのプロジェクトを担当することが多いので、当然一社だけではやり切れず、関連会社の方と協力しながらプロジェクトを進めます。人数が多いとマネジメントとしてリーチする長さも長くなりますから、直接的に全ての現場を自分の目で見て、直接的に相談しながら進めることも現実的でなくなりますから、誰が見ても誤解がないような文章の書き方、絵を使った説明、プロジェクト運営の方針をいかにクリアに伝えるか、という力量も求められてきます。

コミュニケーションロスによるプロジェクトメンバー間の認識相違は、基本的には手戻りやコスト増加の原因にしかなりませんから、「IT業界」といっても、デジタル技術やIT機器を対象に仕事をしているだけでなく、「チーム」や「人」と向き合って「プロジェクトマネジメント」するところに本質がある仕事です。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで自分のExpertiseは「アプリケーション開発」というほぼPCを使って行うバーチャルな世界にあるわけですが、先日参加した工事では、「オフィスフロアの床を開けて、サーバルームにあるネットワーク機器からケーブルドラムでグルグル巻きにされたケーブルを敷設していくという超物理の世界の仕事でした。

ケーブルドラム

いわゆる設備や基盤と言われる領域の仕事なのですが、同じ「IT業界」として分類される仕事でも、やってる仕事内容が全く違って面白さしかありません。

時々、こうやって自分の普段の領域からストレッチして横のチームが担当している仕事現場を見るのもとても大切だなと。具体的に面白いと感じたポイントをご紹介します。

安全第一の徹底

よく道端を歩いていて見かける工事現場でも「安全第一」の看板を見かけることが多いと思いますが、今回私が参加した工事でもとにかく「安全第一」の意識付けが素晴らしいと感じました。

工事日の朝会で「安全第一の徹底」に関する注意事項が毎日繰り返し伝えられるのもそうですし、夕会でも休憩後でも、とにかく「安全」に関する声掛けが頻繁に行われているのが印象的でした。

フロアの床を開けたところには、すぐにコーンを置いてバーをかけて、都度作業エリアを区切りながら仕事を進める。コーンバーの設置は、工事の最後に工事関係者以外の人が中に入らないようにすることを目的に設置されるものと理解してましたが、実は自分たちの作業中にも床を開けている部分を明確に作業者に意識付けさせて、事故を防ぐための目的があるということを理解しました。

あとは、作業しているメンバーに対して周りの人が「○○さん、後ろ開いてるから気をつけて」みたいな声かけが頻繁に起こるのも、安全管理の意識が担当者に徹底されていると感じました。

普段のアプリ開発の仕事をしていても、なかなか「後ろ開いてるから気をつけて」みたいな声掛けをお互いにする機会はありませんから、同じプロジェクトの仕事であれど、チームが違うだけで随分と色んな仕事があることを感じました。

「ケーブル敷設」1つを取っても裏に綿密な計画と工夫がある

表面的にオフィス事務室への「ケーブル敷設」と聞くと、床を開けてケーブル這わせてネットワーク機器同士を繋いで終わり、みたいに捉えてしまいがちですが、細部を見ると色んな工夫があり、感動しました。

例えば、今回の作業では、1日で合計30本以上のケーブルを引いたのですが、ケーブルを引く順番もネットワーク機器から距離があるエリアから順に、非常に効率的に引いていきました。

これ、距離があるエリアから順に引いていかないと、途中でケーブルが交差したりして、通信不良の原因となったり、空間が制限されている床パネルの下に上手く収まらなくなってしまうんですね。

工事担当者の方たちは、段取りよく順番に這わせていくのですが、声掛けしてケーブルの這わせ方を意識合わせしながらケーブルを敷設し、途中で交差したりすることなく実に綺麗な仕上がりになりました。

完全に新規のビルであれば、床下に何もないので作業もしやすいですが、今回は既存システムの入替案件であることもあり、今使っているLANケーブルや電源ケーブル、他の業者が敷設した電話線なども床下にはビッシリあります。

将来的に既存ケーブルを撤去する時の撤去しやすさなども考慮しながら、既存ケーブルと交差せざるを得ない時には既存ケーブルの下を這わせたり、敷設順に右から並べて行くことでケーブルが最終的に綺麗な面になるようにしたり(交差も起きにくいし、配線状況もわかりやすくなる)、この仕事はある種のアートだなと。

更には、エリアごとに敷設する順番やケーブルには予め「ナンバリング班」と呼ばれるチームが番号を振ってあり、作業手順と使うケーブルがそもそも綿密に計画されてるんですよね。

とは言え、現状の床下の状況などを全て事前調査できる訳でもないという制約もありますから、実際にやってみて、事前の計画通りだと上手くいかないところは、都度意識合わせして柔軟に意思決定しながら進めていました。

業界を変えずとも、知らない世界は身近に沢山ある

今の仕事に飽きたとか、この世界は一通り理解できた、という気持ちになると、全く別の世界に飛び込んでみたい衝動に駆られる方もいるかと思います。

でも、いきなり業界自体をガラッと変えなくても、横のチームがやってる仕事を経験するだけでも意外と見えていなかったものが見えることもあるんだなと。

私も、事務所床下のケーブル敷設工事を一度見ただけで、普通に自分のオフィスの床を見ても、この下にはどんな感じでケープリングされてるのだろうか?とか考えてしまうようになりました。

多分このように一つ一つの現場を見ることで、自分の目の前の物事の見え方が変わります。カッコつけて「視野を広げよ!」と言われるよりも、「隣の現場見てこい!」のほうが、具体的だし手触り感のある成長があるなと。

今後も、自分に与えられた役割だけでなく、横の現場が見れる機会があれば、積極的に飛び込んでいきたいと思います!

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林 裕也@30代民間企業の育児マネージャー
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