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ななめに切られたバナナ


少しななめに薄切りされたバナナが、朝起きたらテーブルの上にあった。

「バナナがきってある!」
3さいのむすめはモノめずらしそうにのぞきこみ、手でひとつつまんで口にほうりこんだ。

まだ半分夢見心地でそんな光景をながめながら。

バナナはむいてかじるものじゃなかったっけ
〜とおもった。

お腹が空いたときに、空腹を満たすのに、いち早くその期待に応えてくれるだけでなく
それなりに食べ応えもある。
成長期の子どもを育てているご家庭などには常備されていることも多いだろう、そんな空腹キッズや空腹アダルトたち、つまり腹すかせた人全員の味方であるバナナ。

あの黄色!というカラーが、
「だれでもウェルカム」と言っているようで親しみやすいではないですか。


そんな親近感たっぷりなフルーツバナナを、私は子どもたちに切って出したことはない。
ウィダーインゼリーのCMのキャッチコピーみたいに「10秒チャージ」なところが、バナナがみんなから愛される理由第一位かと思ってたんだけど

バナナがななめに小さく切られ、丁寧にガラスのお皿に盛られ、銀のデザートフォークが添えられちゃっている。まるでメロン様をたべるときみたいに、なんだかとっておきな扱いを受けている。

少しおめかしでもしてもらったようなバナナは、あれよあれよといううちになくなった。

そうか今日は日曜日だった。
バナナを切って出したのは夫だ。
窓から差し込む光もずいぶんとのんびりに見える。

にんげんもバナナも、すこしていねいにはじまった朝でした


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