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05 : 目指すはイージューライダー


※クリックして曲をBGMとして流しながら読んでみてください♪
※曲はすべてお借りしています。


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その日、何かが変わる気がした。

大ニュースなんて降ってこないわたしの日常。
テレビのニュースでは朝から流星群のことが話題になっていて、その流星群とやらが来るのならばわたしも見てやろうと計画をたてた、高校3年生の夏。


受験勉強に身は入らずなんだかぼけっと過ごしていた。
受験は大切なことかもしれないけれど。
果たしてわたしの人生において本当に必要なのかは分からない、だなんて
悪あがきのようなことを考えていて
つまりは現実逃避をしていただけに過ぎない。

現実逃避かもしれないけれど
空から降る無数の星を目の当たりにしたら
わたしの意識とか人生観みたいなものが、感動で変わるのではないかと期待をして
一度この目で見てみたいと思ったのだ。

部屋の壁や天井に散りばめられた星の形をしたプラスチックのシールたちは、電気を消すと光る。
それでは満足できないところまで来てしまった。


真夜中、家族が寝静まった頃。

勉強と称して夜更かしを当たり前にしていたわたしは、パジャマから服に着替える。
夏とはいえ夜は少し肌寒いので薄手のパーカーを羽織ることにした。


部屋のドアをそおっと開ける。
カチャリ、とも音を立ててはならない。
家族に気づかれたら即ゲームオーバーだ。

わが家はマンションのため、内階段はない。
部屋を出て廊下を少しだけ渡ると、お次は玄関。
自動で明かりがつく玄関のライトを手動に変更し、
玄関のドアノブを絶妙な力加減で少しずつ、少しずつ曲げた。

閉める最後まで気を抜かずに、ドアノブの開閉をする。
しっかり鍵もかけて、真夜中の脱出は成功した。


真夜中とはいえマンションの廊下は明るく、ここだけ見るとまるで夜とは思えない。

敷地を出ると、暗そうな道を探した。
高校生が夜に暗そうな道を探す、だなんて、勉強が嫌で頭がおかしくなったとしか思えないが
とにかく流星群のために、暗い場所を探すしかないと思っていた。

知り尽くしているいつも通る道。
ただ延々続く細い道を、ずんずんと進む。
目的地はない。


見上げるとあちこちに街灯がある。
すぐそこには車の通る大通り。たまにブブーンと何かが通過している。

ここじゃあダメだ。
もっと、もっと奥へ行かなくちゃ。

さらにずんずんと進む。
進んでも、進んでも、見える空は変わらなかった。


はぁ。
薄々気づいてはいたけれど、少しの可能性に賭けてここまで来た。
もしかしたら。多くの人の楽しみを背負っている星たちが、僕はここだよと言わんばかりに強い光を放っているならば。
こんな住宅街でも見えるかもしれないと思ったのに。


どんなに進んでもここでは見えないと悟ったとき
くるりと反対を向いて、来た道をダッシュした。

はぁ、はぁ、はぁ。

夜は人通りが少なく、高校生が一人で出歩くなんて危険だ。
分かりきっていたことなのに。
突然怖くなったわたしは家まで走り続けた。


このあたりは明るすぎる。
明るく、安全にしてくれているのだ。おかげでわたしは守られていた。
ありがたいことではないか。


流星群が見れなくたって
変わることができなくたって
僕らの自由や僕らの青春は守られていた。
きっとそういうことなんだろう。


息を切らしてカチャリと部屋のドアを開けると
そこには星がぼんやりと光っていた。



♪「奥田民生 /  イージ㋴ー★ライダー」


#夏の定番曲


#夏の定番曲  での夏の連続投稿チャレンジ、5つめの今回がラストです。
全て実話ですが、ところどころに歌詞の一部を散りばめております。良かったら聞きながら読んでみてください🌠✏️

受験勉強は本当に身が入らなかったです。
勉強、好きではないみたい。笑 国語だけ好きでした。
いつか流星群を浴びたい願望があります。まだ見たことがないので、夏休みとかに泊まり込みで天体観測をしたいです。あ、プラネタリウムは100%寝ちゃうんですけどね。
「奥田民生になりたいボーイと全ての男を狂わせるガール」って本がありましたよね。わたしは“奥田民生になりたいガール”でした。脱力感があるのにやるときゃやる大人、めっちゃカッコいいです。

音楽にはいつも思い出があります。
ラクになって、楽しんで、ちょっと切なくなって、そうやってまた新たな曲と出会いたいです。

たった数日ですがこんなに毎日書いたのは初めてで、毎日投稿されている方達のすごさを改めて実感しております。。
音楽シリーズ、書くの楽しかったです!
もしかしたらまた書くかもしれません♪


5作品のお付き合い、ありがとうございました♪



よかったらこちらも。
音楽好きなわたしのマガジンです📖♪♫


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