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最近の【ほぼ百字小説】2023年6月29日~7月8日
だいたい18篇くらい溜まったらそこまで、という形式でいきます。あとはべつに変わりないです。ひとつツイートしたら、こっちでそれに関してあれこれ書きます。
【百字劇場】三冊そろってます。どれにも前作解説をつけてます。『ねこラジオ』も、まもなく最後まで行きました。これで、全三冊600篇分、解説したことになります。ひと通り読み終えてから、お楽しみください。
シリーズ【百字劇場】は、作者による全作品解説のオマケつきです。QRコードをお見逃しなく。百字小説の解説は百字以上になることが多いので、オマケは本編よりだいぶ大きいです。#百字劇場 https://t.co/36gGdPFaxl
— 北野勇作100 (@kitanoyu100) May 25, 2023
6月29日(木)
【ほぼ百字小説】(4563) なに? コピー機と鋏と糊とたくさんの紐を使って、署内をデジタル化? 警察手帳も廃止? うーん、型破りなデジタル野郎だな。よし、今日からお前の名はデジタル刑事だ。あ、視聴率が低下したら殉職してもらうぞ。
昭和テイストなデジタル化。そして、その刑事はあんまり人気がないままで、殉職回もあんまり視聴率は稼げませんでした、というあるある。
【ほぼ百字小説】(4564) ある仕組みに不具合があった体験を書くと、自分の時はそんなことなかった、と知らない人が次々言ってくるというのもその仕組みの一部で、不具合だらけのその仕組みの中で思い通りに動いている数少ない部分なのかも。
まあこれもあるあるですね。そして、昔からずっとあるあるなんでしょう。喉元過ぎたら忘れてしまうんですね。
6月30日(金)
【ほぼ百字小説】(4565) 西日ではなくそんな色の照明だ、とわかったことで、まるであの映画の中にいるみたいだ、というさっきまでの高揚感がきれいさっぱり消えてしまったが、しかし考えたらあの映画の中の西日だってそうだな、と思い直す。
このあいだtoi books の入ってるビルで、イベントがあって観に行ってきました。これ。
https://twitter.com/toibooks/status/1672981333541543937
そのなかで、本屋プラグの嶋田さんが、まるで前振りのように、西日がまぶしくて、それがまるで黒沢清の映画のようだ、みたいなことを何度もおっしゃっていて、そして最後にそれが西日ではなくライトだったというオチがついたのがすごくおもしろくて、実際あの会場の感じはたしかに黒沢清の映画に出てきそうだった、というのもあって、それをネタにしたやつ。
たしかにあの映画みたい、って思うことありますよね。そして夕陽のシーンとか、作り物の赤い光だったりすることがよくあります。それがまた映画っぽかったりしていいんですけどね。あ、すごくおもしろいイベントでしたよ。
【ほぼ百字小説】(4566) いくら転進を求めても、そんなものは撤退の言い換えではないか、と認めてもらえなくて、戦略的転進という方針が発表されたのは、我々が全滅したのではなく玉砕したあとのことだったな、と幽霊ではなく英霊は語った。
これまたあるある。そして今ココ、でしょうね。いやほんとずっとこのまんまで変わらないんでしょうね。私が子供の頃は、少しずつでも変わっていく、とか思ったりしたものでしたが。
7月1日(土)
【ほぼ百字小説】(4567) 停止したら死ぬから動き続けていて、止まった位置が死んだ位置。そこに墓が置かれ、どこに止まったか、文字通りその一点で、彼らの一生は表現される。とは言え、それはもっと大きな計算の一部でもあると言うのだが。
一種のチューリングマシンみたいな生き物、というか、まあ生き物は全部そうか。そして、それをチューリングマシンとして使用している場合、必要なのは停止した位置だけですよね。それまでの右往左往はどうでもいい。ということで、そんな生き物の話。あなたの人生の意味は47です、とか。そんな一点と一生と一部の話。
【ほぼ百字小説】(4568) ヒトに紛れて暮らすためヒトに擬態していたが、ヒトが滅んだ後は、ヒトの姿のおかげでヒトが作ったものを使い回せる。滅んだはずのヒトが我々に紛れて今も生きている、というこの都市伝説もまたそんな使い回しかも。
あるあるネタとしてなかなかよくできているのではなかろうか。ヒトの形をしているからヒトのものをそのまま使える、というのは、ヒト型ロボットとかにも言えることでしょうね。そして、都市伝説というミームもまた、ヒトが作ったものですから、それをそのまま使ってるかも、というサゲ。
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