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今週の【ほぼ百字小説】2023年1月16日~1月22日

 今週もやります。【ほぼ百字小説】をひとつツイートすると、こっちにそれについてあれこれ書いてます。解説というより、それをネタにした雑談だとでも思ってください。

 あ、投げ銭は歓迎します。道端で演奏している奴に缶コーヒーとかおごってやるつもりで100円投げていただけると、とてもやる気が出ます。

1月16日(月)

【ほぼ百字小説】(4283) いつもの道を歩いているのにいつもと違って感じられるのは台本のせいか。頭の中で台本をなぞりつつ、たまに立ち止まって台本を出して確認する。台本の中の私は台本の外の私がそうしていることを知っているだろうか。

 ひさしぶりに芝居に出ることになりました。前に出たのは、最初の緊急事態宣言が出る前です。で、今日はその稽古の顔合わせと読み合わせ。読み合わせ、というのは、台本を出演者みんなで自分の台詞を声に出して読む。そうやって、台本を最初から最後までとりあえす読んでみる、というやつです。新しい芝居の顔合わせはいつも緊張します。今ココ、という感じ。
 これです。

1月17日(火)

【ほぼ百字小説】(4284) ああ、またあの夢だな、と目覚めてからいつも思うのだが、その内容はいつもながらさっぱり憶えておらず、でもたしかにまたあの夢だったという確信だけはあって、そのこともなんだかあの夢の中にいるみたいだと思う。

 あるある、だと思います。とりあえず、私にとってはそうです。子供の頃から風邪をひいたときとか熱を出したときに見る夢があって、でもそれがどういう夢なのかはさっぱりわからないんですね。でも、同じ夢だということだけはなぜかわかる。夢はおもしろい。

【ほぼ百字小説】(4285) 空き地の隅に饅頭くらいの大きさの土の塊が等間隔で並んでいるのだが、それがなんとなくお墓のような気がしているのは、蟻たちが砂粒を運んでそこに積み上げるのを見たからか。今日も長い長い蟻の行列が続いている。

 実際にこういう土の塊を見たんですね。それがなかなかいい感じで。それで土饅頭という言葉もあって、その連想もあるのかな。で、お墓にしては小さいんですが、小さいものにとっては大きいだろうし、蟻からするとピラミッドみたいな感じなるのか、とか。蟻の行列とか、ピラミッドの建設風景みたいだし。

【ほぼ百字小説】(4286) 傾いたがそれでも倒れなかったから死なずにすんで明け方の寒さに震えながら壊れたアパートの前の歩道から見る月は見たことがないほど赤くて、でもそのときはまだちょっと大きめの地震くらいにしか思っていなかった。

 28年前の話。全壊してしまったこのアパートは、『かめくん』の中にそのまんま使いました。いいアパートだった。

1月18日(水)

【ほぼ百字小説】(4287) 肌寒い夕方、登場人物たちが初めて一堂に会して、これから先に起きること、これから何度も繰り返されるであろうことを声だけでやってみる。身体と動きはまだこれから作らねば。現実を作るのはなかなか手間がかかる。

 芝居の読み合わせの最中に書いた。まあこんな感じです。ということで、芝居の稽古が始まりました。たぶんそれが反映されたものが増えていくと思います。

1月19日(木)

【ほぼ百字小説】(4288) フェンスの向こうに枯れ野が広がっていて、遠くに小さく猫らしきものが見える。枯れ草の上にある白と茶と黒のパターンはそうとしか思えないが、ときおり立ったり膨らんだり浮かんだりもするから、なんとも言えない。

 実際に見かけるものとか風景から書いている、というのはこれを読んでいる方にはもうとっくにお分かりだと思いますが、これもそう。いつも同じところに猫がいるんです。けっこう大きい空き地で、だから遠くに見える。猫だかなんだかわからないくらい遠くにいつも猫がいる、というのがおもしろくて、それで書いたやつ。

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