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ともしび

いのちのともしびは、静かに揺れている。

われわれは、足が生えたたった1本のろうそくだ。
その灯りが消えぬよう、絶えず空気の濃いところを探し求めている。

赤くなったり青くなったり、大きくなったり小さくなったりしながら、自分の足で歩いて居場所を見つけていく。


果てなく広がる紺碧の天蓋、木漏れ日を抱き込んだ泰然自若たる木々、何者であるかを問わずただ微笑み流れていくそよ風、そういう宇宙たちに慈しまれ、またこちらもそれらを慈しみ、われわれは灯りをともしていられる。

となりに同じ道を歩くともしびがいたのなら、励ましあったらいい。
元気がないのなら、ひときわ大きなともしびから炎をわけてもらってもいい。その逆も然りだ。

心地よく、穏やかな、巡る宇宙。



けれども、ときどき、
背後から黒い袋をかぶせられることがある。


突然真っ暗になった視界。
色も光も香りもない世界。

何も見えないのはひどく不安だから、明かりがほしくて炎を大きくしてみるけれど、それでは袋の中の酸素が消費されるばかりで、かえって呼吸が苦しくなってしまう。
そういうことならと、わずかに残された酸素でじっと耐え続けるけれど、この袋がいつ外れてくれるのかはわからない。
永遠とも感じられる、苦しみだけがわたしに寄り添っている、孤独な空間。


誰が、なんのために
わたしに黒い袋をかぶせるのか。





ビニールの袋は、よく燃える。

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