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荘子、臨済、ニーチェにおける美しい人
人間を極めると、光を纏ったしなやかで美しい存在に変容することが分かります。その存在は、法身、超人、神人などと呼ばれます。また、人間を極めると、美しくなるだけでなく、喜びや笑いのある遊びの世界にも入ることができるのです。
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君たちがもし一念を静めることができたら、そのまま清浄法身である。君たちの一念不生がつまり菩提樹への登攀であり、この三界に在って神通無碍、意のままに化身しつつ、すべてが法喜禅悦。
身からは光が射し出て、心の欲するままに千着の美服をまとい、百味の美食を口にし、不意の病いにかかることも全くない。
『臨済録』「示衆」
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それはもはや牧人ではなかった、人間ではなかった、──一人の変容した者、光につつまれた者だった。
そしてかれは高らかに笑った。今まで地上のどんな人間も笑ったことがないほど高らかに。
『ツァラトゥストラ』「幻影と謎」
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藐姑射(はこや)の山(神話上の山)に、神人が住んでいる。肌は氷や雪のように白く、体のしなやかさは乙女のようだ。
穀物は一切食べず、ただ風を吸い露を飲み、雲気に乗り、飛竜を操って、世界の外に遊び出ていく。
彼の霊妙なエネルギーが凝結すると、あらゆる物は傷病なく成長して、五穀も豊かに実るのだ。
『荘子』「逍遥遊篇」
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【引用】
入矢義高訳注『臨済録』(岩波文庫、2019年37刷)
手塚富雄訳『ツァラトゥストラ』(中公クラシックス)Kindle版
池田知久『荘子 全現代語訳』(講談社学術文庫)Kindle版