レビュー / 映画『いまを生きる』いまを生きることは、命知らずであることとは違うんだ ★4.6
Seize the day(いまを生きる)。
それは私の人生の信念でもあるのだが、でもそんな生き方は刹那的な快楽主義者、無責任野郎にもなりうるんじゃないか、ってずっと悩みもしてた。その悩みに対して一つの答えを与えてくれるような作品だった。
「いまを生きるとは、愚かな危険を侵すことではない。大胆さと慎重さは表裏一体だ」。作中に出てくる、ロビン・ウィリアムズ演じるキーティング先生の台詞。本当にその通りだよなあと思う。
大胆さと慎重さは表裏一体。自分が本当に掴みたいものを大胆に掴むためにも、ある程度の慎重さを身につけるのは大事なことなんだなあと、今までなんとなく分かりつつも見て見ぬふりをしてきたことを、改めて教えてもらえてよかった。やりたいことが今すぐ叶わないなら、時機を待ったり。「いまを生きる」ということは、命知らずであることとは違うのだ。
大胆であると同時に慎重であるためには、自分が人生で本当に大切にしたいものはなにか?を明確にすることが大切なんだと思う。「今この瞬間はこの快楽に溺れてしまいたいけれど、自分の命や愛する家族のほうがこの快楽よりも大切だ」と思えればこそ、私たちは慎重になることができるのだし、それは結果的に、自分の人生の幸せにつながるはずなのだ。
私たちの「いま」は、その瞬間だけではなく、私たちのこれまでと、私たちの未来を含んでいるもの。だからこそ、その瞬間だけの快楽ではなく、これまでと未来を踏まえて大切にしたいものを大切にする、というのが、「いまを生きる」ということなんだと思った。
それと同時に、そうした慎重さを持ってさえいれば、他の人に理解されなくても、いかに不条理に思えても、自分の気持ちを大事にしてあげていいんだ、とも思えてよかったな。
キーティング先生ありがとう、七転八倒を重ねながら、わたしこれからもいまを生きていきます。