奈良屋のデュエット官能随筆“ある朝のベッドの写真”
作/奈良あひる
女「え?入れちゃうの?」
男「え?なんで?」
女「なんかちょっと罪悪感が…」
男「ここまできて?」
私は騎乗位の体勢で男にまたがり、膝の力をぬいて腰を下せば入ってしまう状態にいた。
男は私の腰に手をあて、腰を下すことを促している。
女「まぁ、いっか…」
男「まぁ、いいよ…」
それは私の中へスムーズに入っていった。男の腰のリズムの波に揺れ、彼は今何をしているのだろうと想像していた。確かなのは、1時間ほど前は彼と食事をしていて、明日はどこへ行こうなんて話していた。そして、彼は休日出勤ということで、駅へと消えていったこと。
揺れる時計を眺めながら。
「っんん、ああっ、気持ちいい…」
彼、私は今何をしていると思っているのだろうか。
きっと私の事は考えていない。そう思った時私は「まぁ、いっか」と声が出てしまい。入れられてしまった。
彼が仕事をしているとき、女は…
なんてベタなのでしょう、素敵。
「…気持ちいい」
男「今何考えてたの?」
女「彼は今何をしてるのかなって」
男「仕事してるんじゃないの?」
女「私は今何をしていると思ってるのかなぁって」
男「何してるかとか特に考えないんじゃないかなぁ」
女「こんなことしてるなんて知ったらびっくりだね」
写真が揺れている。私と彼が写っている写真が。
男は息づかいが荒くなり、起き上がり私の胸にキスをした。
そして、そのまま私を後方へ寝かせ正常位へ。
写真の中の彼は笑っている。
私は想像すると興奮する。彼が知らないうちに他の男と。そして男も、彼や旦那の知らないところで、女が誰かと寝ていることに。
そんな話で一週間ほど前に盛り上がり実行に移したのだ。
決め手は、私が自分の部屋がいいと希望した時に、男が、私と彼とのツーショット写真なんてあったらなおいいよねと言ったことだった。そのセンスに共感してしまった。
セックスをすることを約束して、その日を待つのはつらい。何度も欲情してしまった。
男「ああ、やばい、いっちゃいそう」
そのとき私は気持ちよさですべてどうでもよくなっていた。
男は私の胸に向け射精した。かわいい。
男「ああ、すごい、すごくよかった!」
女「私もだよ」
男はティッシュで私の胸の白いものを拭いている。揉みながら。
私は男の首に手を回しキスをした。
横目に見える写真の中の彼はやっぱり笑っていた。
おしまい
「田中屋の少年雑記」でも寄稿してます。
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