【ふせん】「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?_#025
概要
書評というほど本全体に対する批評は薄く、
読書感想文というほど総合的な感想ではない。
気になった言葉に対して感じたことを「ふせん」として書き記すシリーズ。
「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?
気になった言葉たちと感想など
コロナ禍の影響で一気にリモートワーク化が進んだものの、状況が落ち着いてきてからは出社回帰の潮流があり、ここにマイナス感情を抱く人もいるだろう。私もそのひとりである。
これに関しては組織ごとに考え方や価値観があるので善悪については一様な答えがないが、一度与えられた状況がなくなったときに発生するマイナス感情というものをちゃんと理解して対処する必要性は明確に感じる。
多様な価値観があふれる現代において、組織に属する全員を満足させる施策というのはそもそも実現が不可能であり、アプローチすべき対象を絞って目的を明確にすることが必要だと本書では説かれている。
また、こういった施策を立てる際に陥りがちな「手段の目的化」現象も注意が必要で、「なんのためにやるのか」という目的を見失わないように常に気を付ける必要がある。「なんのための施策なのか」がはっきりわからない場合は、手段の目的化に陥っている可能性があるため、必要に応じて見直しが必要だろう。
いわゆる価値観のずれによって生じる溝はなかなか埋めることが難しく、これはあらゆる人間関係において共通の問題だろう。
組織のなかで考えると、理念やカルチャー、福利厚生や評価制度あたりに組織としての想定する形が表されており、これらが従業員たちの考えにどのくらいマッチするかが重要になってくる。
雇う側も雇われる側も、この価値観のずれができるだけ生まれないようなコミュニケーションを意識すべきだろう。
たとえば結婚であったり、出産であったり、趣味の変化や居住環境の変化など、考えうる私生活でのあらゆる変化が仕事に求める条件などに少なからず関わってくるように思える。
組織としてもこういったライフステージの変化に対して適度にアンテナを張り、守るべき従業員を守れるように体制を整えることが大事だろう。
書いてあることはあたりまえな内容のようにも見えるが、価値観というものが比較的抽象的なものなので、組織が求めるものとどれだけ合致しているかを見極めるのが本当に難しい。
これは働く側も同じで、自分の大事にしたい価値観がなんなのか、目の前の組織がその価値観を満たしてくれるのかをしっかりと見つめ、考えなければいけないと思った。働く側の目線としてこの見極めの一つの手段として、先輩たちを姿を見て、その姿が将来こうありたいという姿をしていれば、価値観において大きなずれはないと考えることもできるだろう。
いわゆる従業員エンゲージメントと呼ばれるものの指標となるのがこれらの要素だろう。
エンゲージメントが高い集団は当然高いパフォーマンスを引き出すだろうし、組織にとっても安定して理念の追求ができ、win-winの状態といえる。
エンゲージメントを高めるためにも、社員が求める環境を機敏に察知し、組織として対応できる範囲で環境を整えることが大事だと感じた。
消極的定着とは本書でいうところの「ぶら下がる人」と言えるだろう。
勤続年数が長く、会社内でうまく立ち回ることを身に着けた(身に着けすぎた)人たちはこういった姿になりやすいのではないかと思う。
上記で出てきた要素で行くと「働きがい」を得ることをあきらめた状態と見ることもでき、直接的な悪影響も見えづらいため、組織としても取り扱いが難しい人たちなのだろうと、現場目線でも感じる。
ただ、こういった人たちの雰囲気が伝染して、現場の「働きがい」が連鎖的に低下している場面というのも感じることはある。こういったタイプの人が多く、放置されている職場では、自分自身も消極的定着に陥らないように注意したほうがよさそうだ。
ひとつ前に出てきた「ぶら下がる人」も含めて、全体の公平感を優先すると、パフォーマンスの高い人たちは足を引っ張られている感覚を覚えやすく、「損をしている」という考えにも至るだろう。
その結果、優秀な人たちが離職してぶら下がり社員ばかりが残ってしまっては組織としてもダメージは大きい。いわゆるパレート(2:8)の法則で、優秀な人が離脱した結果、ぶら下がり社員が覚醒して力を発揮する、という可能性もゼロではないが、だからといって優秀な人材の離職を前向きに見るということにもならないだろう。
組織のおいては、場合によっては待遇などを”区別”するという判断も必要そうだ。
上記の公平感につながる考え方。
理想としては全員が幸福になることではあるが、一定の集団においてはそれは理論的に不可能だと割り切ったほうがよさそうだ。
組織として大事にすべき人物像をはっきりさせ、それらの人たちがモチベーションを保てる環境を整備することが大事だろう。