「うつ病です」と言われたけれど
このnoteは筆者の体験と考えによる感想文であり、医学的根拠に基づく論考ではないことを最初にお断りしておきます。
タイトルにもあるとおり、筆者である私がうつ病と診断されてから治療を続けて3ヶ月が経ちました。健康に関わる様々な方々と話をする中で、いろいろ思うところがあったのでここに書いています。
「うつ病です」と診断されるまで
異変が出たのは今年6月に入ってから。それまで経験したことのない強い疲労感・無気力・食欲のなさ…などなどなど、いくつもの体調不良が起きた。普段からなにかと体調崩しがちな私でも「ちょっとおかしいな」と感じるレベルに、どれだけケアしても回復せず悪くなる一方。
食欲が全然沸かないのが一番きつかった。好物を食べても感動が全く湧かない。胃が空っぽなのはわかるのに食べたいという意欲が湧いてこない。正直なところ、ご飯を前にして泣いた。自分がぶっ壊れてしまったようで本当に怖くなった。
何度か病院に行ったところ、かかりつけ医でふと「うつ症状が出ているのでは?」と言われた。それまで1ヶ月に渡って食事を改善しても睡眠や生活習慣を見直しても全っ然よくならないし、その一言が気になったので、数年前に少しお世話になったことのある心療内科にかかった。結果「うつ病」と診断されました。それからお薬で治療を続けて3ヶ月、今日に至ります。
原因がよくわからない
なんですけど、思い当たる原因がない。人生を脅かすようなハプニングや決定的にネガティブな出来事やストレスはないので、わからないんですよね。あるとしたらコロナ禍で生活が急激に変わったこととか、同人誌発行後の燃え尽きかなーとか、小さなことの蓄積で疲れたんだろうなということくらいです。
「…ということくらい」って書いたけど、疲れてたんだろうな。
2つの正直な感想
心療内科の先生に「うつ病です」と診断されて気づいたこと、思ったことはいくつもあった。そんな中で抱いた大きな感想が2つ。正反対に取れるかもしれないが、どちらも私の正直な気持ちだった。
まず、「こんなに簡単にうつ病だって診断されるんだ…」ということ。
数年前にかかったことがあって私のカルテを持ってる先生だったとはいえ、5-10分の診察で症状を口頭で伝えて「それはもううつ病ですね」の診断結果。正直驚いた。自覚症状があるにしてももっと軽いものだと思ってたし、もっと細かく検査されるものだと思ってた。真面目な人しかならない重い病気だと思っていたから、口頭の問診だけでこんなに簡単に自分に下されるとは思わなかった。
そして、「安心した」ということ。
とにかく何でもいいからこのくそだるい状態を治してほしかった。だから、うつ病と診断されたことで目に見えない症状に対してお薬を出してもらえて、そのお薬が有効に効いて確実に体調が戻り始めたから、安心した。おかげで仕事も続けながら治療ができている。
疲労感がしんどい
体調の異変、副作用は数え切れないほど出たし、ひとつ治ってもまたひとつ新しい異変がひっきりなしに出てくる。食欲は比較的すぐに回復してくれたので今は食事に問題は出てないし、むしろ以前より1日の食生活を気にするようになって改善できた。
継続的にしんどいのは、疲労感。朝起きた瞬間からもう眠りたい。的確に言葉にするのはなかなか尻込みする感覚だけど、「いくら眠っても寝不足を抱えている感じが解消されず毎日続いている」ような。疲労の蓄積がとにかく早い。出かけた後に階段をのぼるだけで脳酸欠みたいになる。調子が整わないと一日中寝ていたり、仕事にならないどころかろくな対応ができず就寝ということも何度かあった。
そして全ての感覚が過敏になっている。触覚、嗅覚あたりはいつにも増して過敏になったように思う。些細なことに刺激されるのですぐ具合悪くなるから、とにかく日常の中でなるべくのノーストレスを心がけるしかない。
今までは平気だった無理でも、今の私は潰れてしまう。
自分を甘やかす
体調崩しがちな自分でも、それでもなるべく生活を改善することで健康でいられるように努力してきた。食に興味がないけど、一般的な人として最低限の生活水準は守るようにがんばってきた。体調を崩しても症状をググって対処して、それでどうにかなってきた。
「バランスの良い食事をとりましょう」
「適度な運動をしましょう」
「睡眠をきちんととりましょう」
「無理のない、ストレスのない生活をしましょう」……
それができるんだったら苦労してねえよ。
と捻くれまくりの私だが、「うつ病」と言われる前と後で先生のアドバイスの受け取り方が変わったところがあるかもしれない。それまでは「できたらやるかなー(すぐ忘れちゃうけど)」と楽観視してたけど、「やらなかったら自分が痛めつけられてるんだな」という意識に変わった。
そんな私の中に、特に印象に残った助言がいくつかあったのでメモしていきたいと思う。
ストレスを回避できる方法を考える
まず、カウンセリングの先生に言われたこと。先生はとにかく私の食が疎かになりがちなことを心配してきて、「栄養のことは考えなくていいので食べられるものを食べてください」と限界of限界なアドバイスを何度もしてくれている先生だ。
私「ご飯は食欲沸かないけど、コーヒーは好きだから飲みたいと思うんです。でも胃には悪いし、鉄分の吸収を妨げるって聞くから控えるようにしてるんですよね」
先生「それならコーヒーは飲みたい時に飲みましょう。鉄分はサプリなんかでもとれるから、鉄分は他の方法を考えましょう」
なるほど。きっと至極簡単な答えだったのかもしれないけど、こうと決めたらそれ以外の選択肢が見えなくなる私には全く見えてない方法だった。
夜眠れなくなるのが嫌なので飲む量は減っていたけど、それをきっかけにデカフェを注文することも増やしたりした。自分が満足できる量なので、コーヒーを我慢しているというストレスは感じていない。
「健康」は宗教 コロナ禍で加速、国が強制する危うさ(朝日新聞デジタル))、健康志向で食べ物の制限をすることがストレスになるなら、逆にその食べ物を食べた方が健康でいられるのかもしれない。
本当の病名は誰にもわからないのではないか
そして、整体の先生に教えてもらったのが「副腎疲労」という症状だった。
精神科の先生にうつ病と診断されても実はこの副腎疲労である人も多いらしい。副腎疲労もうつ病も症状はとてもよく似てるが、目に見える症状がないので判断が難しいとのことだった。
私が感想として抱いた「こんなに簡単にうつ病って診断されるんだ…」が腑に落ちた瞬間だった。私の症状にうつ病という病名をはめることに違和感を覚えていたから、その可能性も十分にあるなと思った。
でも、だからって本当に私がうつ病なのか、副腎疲労なのかそれ以外なのかは、医者でも整体の先生でも当事者自身でも正確な判断はできないものなのだろう。脳の神経回路を目視して状態を伺うことはできないし、何をもって「正確な判断」なのかわからない。その病気にかかったという認定書をもらえるわけでもない。
答えの出ない状態をひとつ持っていなければいけないということなのかもしれない。
病名の型に自分がはまるのではなく…
そういえばそんなふうに知識を得て、自分のために落とし込んだ経験があったことを思い出した。HSPを知った時だった。
HSP:Highly Sensitive Person。「刺激に敏感で繊細な気質をもって生まれた人。 感受性が強く、他人の感情が気になりやすく、ストレスを感じやすい傾向がある」人を指す。メンタリストDaiGoさんが動画で紹介されていた『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』という翻訳本が気になり、読んで知った。
HSPを知ってから、彼らの特徴や対処法をまとめた動画を参照するようにもなった。一般的な人よりも一人でいる時間や休息に充てる時間が必要だということ、そのために人との交流を意識的に断って自分を優先させるべきなんだということを知った。
私は自分のことをHSPだとは思わないし、誰かから「あなたはHSPだ」と言われたこともない。だけど「あなたは繊細だね」とはたくさんの人に言われてきたし、HSPの特徴に自分が当てはまることが多く共感できる事例が多かったから、HSPの人が知って助かる情報なら自分の役にも立つかもしれないと、興味のアンテナが一つ増えた。
あ、「うつ病」もこの感じでいいんだと。自分と向き合う感覚がつかめたような気がした。
うつ病と言われたけどうつ病じゃないと思っていい
実際「うつ病です」と診断された時、うつ病であることをわざわざ認識することによって落ち込んで逆にひどくなる人も一定数いるのだという。そしてそれと反対に、うつ病を言い渡されて安心する人もいる。
私は「うつ病です」と診断されて安心した。けどそれはうつ病という病名がついたことで安心したのではなくて、その診断によって治療する方向性が明らかになったからだったんだと、冷静に振り返ってみると思う。自分がうつ病になったと認められたことに対して安心したわけではない。
体調が悪くなってからどんな改善策を打っても自分の力ではもうどうしようも治せなかった。だから医者にかかってうつ病だと診断されて薬をもらって治療している。けど「私はうつ病なんだ」というよりは、「うつ病の治療法で体調改善を図っているんだ」という認識に変わっていった。
主軸は病気ではなくて自分でいいと気づくことが出来たのは大きい。主軸を自分に置くことで、他を意識して無理をすることなく、自分を甘やかせるようになってきたと思う。
自分を褒められないことが原因で無理が募って「うつ」と診断されたなら、自分を褒めて甘やかしてあげられるように患者が変わっていかないと、きっとその「うつ」は回復しないんだろうと思う。
「うつ病になったら人格が変わるの?」なんて話は散見されるし、実際自分も身の回りの人々を見てそう思うことが過去にはあったが、うつは当事者のマインドが変わらないことには絶対治らないと強く感じる。
うつ病になったから人格が変わるのではなくて、うつ病を治すには無理をせず自己肯定してあげる必要があるから、行動や思考を変えていく努力をしないと回復していかねえのよ。そら人格変わるって言われるわ。なるほどな。
久々に雑文を書いて
ずいぶん久しぶりにまともなブログを書いた。文章を書く感覚だって今年の春までとはずいぶん違う。同じ言葉を繰り返してしまうし、今までみたいに書いているうちに次のワードが湧いてくるような感覚もまだ薄い。でも、7月の初めには言葉を紡ぐことすら難しくなっていたのが、今こうしてnoteをまとめることができるようになったのだから、快方には向かっているのだと思う。
本当に時間をかけながらゆっくり向き合っていくものだと思う。しばらくはこんな感じなんだろうな。のんびりやります。
要するに、なんでもないです。ちょっと書きたくなったので書いてみました。
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