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技術系×人とのつながりで地域貢献ー元エンジニアが選んだフリーランスライターの道
エンジニアからフリーランスライターに転身した廣石健悟さん。「とことん調べる力」と「好奇心」を原動力に、エンジニアの論理的思考と柔軟な発想で、難しい技術や専門用語も丁寧に解説し、分かりやすい記事を執筆しています。今回は、独自の組み合わせで新たな可能性を切り開いてきた廣石さんが、なぜフリーランスの道を選んだのか?「技術」と「人とのつながり」を大切に仕事に向き合う姿勢とその人となりを紹介します。(写真提供:廣石健悟さん)
廣石健悟さんプロフィール
1985年長野県飯山市生まれ。工学分野に興味を持ち、16歳から機械工学の道へ。大学院卒業後、鉄鋼系物流会社に就職。2017年長野市にUターン移住し、半導体パッケージメーカーに転職して6年勤務。その間、ブログを開設し、ライターのキャリアをスタートした。2023年4月エンジニアからフリーランスライターへ転身。現在は、地域イベント紹介、移住者インタビュー、製造業の事例紹介・ユーザーインタビュー、弁護士へのインタビューなど取材・インタビューを軸としたライター活動を展開中。
相手の利益になる仕事をする
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ー現在の仕事内容を教えてください。
廣石:はい、現在フリーランスのインタビューライターとして次の3つの柱を軸に仕事をしています。
まず1つ目は地元メディアです。例えば、信濃町のオウンドメディアで、移住者の方々にインタビューして紹介する。また、週刊長野という地域情報メディアでは、長野県内のさまざまな出来事を紹介する記事を担当しています。自身がUターンなので、地域の魅力を伝える仕事には特に思い入れがあるんです。
2つ目は製造業関連。主にBtoBの企業の事例紹介やユーザーインタビューを行っています。以前エンジニアとして働いていた経験を生かせる分野なので、専門的な内容も分かりやすく伝えるよう心がけています。
そして3つ目が、弁護士メディアですね。人物・サービス紹介の記事を執筆しています。法律の専門家とお話しする機会が多いので、常に新しい知識を得られて、刺激のある仕事だと感じます。
紙媒体からWeb媒体まで幅広く対応していて、それぞれの媒体の特性や読者層に合わせて、柔軟に執筆スタイルを変えるようにしていますね。
地域・製造業・法律と多様な分野の方々の声を聞き、読者に届けるのがこの仕事の魅力だと思います。
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ー廣石さんの仕事に対する考え方を聞かせてもらえますか。
仕事で最も大切にしているのは、常に相手の利益を意識することですね。これは、どの分野の仕事でも共通して心がけています。
例えば、自治体の移住者紹介の仕事では、単に移住者の方々を紹介するだけでなく、記事を通じて新たな移住者が増え、地域経済が循環するのを目指しています。一つの記事が地域の活性化に繋がる可能性があると考えると、とてもやりがいを感じますね。
さらに、企業と企業の間を「文章で橋渡しをする」役割も担っていると感じています。技術的な内容を正確に理解し、それを分かりやすく伝え、ビジネスの成立に貢献できるのは、仕事の醍醐味の一つですね。
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廣石さんが仕事をする上で大切にしている言葉
弁護士メディアでも技術職で培ったキャリアが生きており、記事の骨組みをしっかり組み立てることを大切にしています。専門性の高い内容を、一般の方にも理解しやすく伝えるという点では、製造業の記事と共通するものがありますね。
このように、分野は異なっても「相手の立場に立って考え、分かりやすく伝える」のを常に意識しています。一般の方々にはあまり馴染みがない物事を分かりやすく伝えて、人々の生活がより豊かになるように貢献したい思いがあります。
読者の方々の利益につながり、ひいてはクライアントの利益にもなる。そんな好循環を生み出せるようになりたいですね。
半導体パッケージメーカーのエンジニアから専業ライターへ転身
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ーところで、前職ではどんな仕事をしていたんですか?
2017年に長野にUターン移住したタイミングで、半導体パッケージメーカーに転職したんです。主な仕事は、製造設備の設計でした。CADを使って設計図を描く、いわゆるエンジニアの仕事です。そこでは6年ほど働きましたね。
時期や抱えている案件によりますが残業はあまりないことが多く、世間では働き方改革が叫ばれる中で、時間的には恵まれた環境だったといえます。
でも、実際に仕事をしていて感じたのは、自分の働き方が非常に受け身で言われたことをこなすだけ。積極的に何かを生み出そうという気持ちはあまりありませんでした。
次第にその状況がストレスとなっていき、家庭生活にも影響を及ぼすようになったんです。家族に対してイライラをぶつけてしまった時もありました。
そのとき、強く感じたのは「このままではいけない」という危機感でした。あのまま続けていたら、精神的に追い詰められて、最悪の場合、生きていなかったかもしれない……と今となっては思います。
この経験が、キャリアチェンジを考えるきっかけになりました。もっと主体的に働きたいと強く思うようになったんです。
ーそこから、副業でライターを始められたんですね。
はい。最初は会社員として、毎日8時間勤務をこなして、就業前後の2時間、合計4時間を副業でライティングに充てていました。副業では、主にSEOの案件を受けて、徐々に仕事の幅を広げていきました。
そのプロセスの中で一つの目標を立てたんです。それは「副業収入が税込10万円を超えたら本業にしよう」というものでした。
でも正直、フリーランスへ転身する不安も大きかったですね。収入が不安定になるんじゃないか。まともに生活できなくなるんじゃないか。そういった懸念が常にありました。
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そんな中で、妻の反応が大きな支えになりました。彼女はフリーランスに対して好意的で、背中を押してくれました。彼女の存在がなければ、決断するのはもっと難しかったかもしれません。
フリーランスを目指すようになり、日本の社会保障制度についても調べるようになりました。日本は福祉に恵まれていて、万が一立ち行かなくなったときにもセーフティーネットがある。
特に、法律関係について調べて詳しくなっていく中で、家族3人が生活していくくらいは「どうにかなる」と思えるようになったんです。
その瞬間、すべてが吹っ切れ、前向きな気持ちが湧いてきました。振り返ってみると、決断に向けてのプロセスそのものが、自分にとって大きな成長の機会だったと感じています。
不安と向き合いながら情報を集め、家族と相談しながらも自分の可能性を信じる。これらの経験はフリーランスになってからも大いに役立っています。
ー実際にフリーランスライターとなって変化したのは?
人との関わり方ですね。30分から1時間ほどインタビューで相手の話を聴くだけで、その人の特性を掴めるようになってきたんです。これは、ライターとしての仕事だけでなく、私生活でも役立っています。
相手の特性が分かれば、より深い付き合いができるようになります。例えば、外見で怖そうに見える人でも、話をしていくうちにその人の人間性に触れられる。そうすると、最初の印象とは全く違う魅力的な一面を発見できることがよくあります。
「技術系×人とのつながり」自分だからこその価値を見出していく
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ー今後キャリアやビジネスをどのように発展させたいですか?
まず力を入れたいのは、地域の町工場や機械メーカーなど、地元でも知る人ぞ知る企業を紹介する記事を執筆することですね。
長野県は製造業が非常に強い地域で、例えば宇宙産業との関わりが深い企業もあります。
こういった地域産業の中でもニッチな分野について取り上げてみたい。なぜなら、これらの企業や産業は地域経済の重要な基盤になっているにも関わらず、一般の方々、特に若い世代にはあまり知られていないからです。
都市部への若者の流出は、地域にとって大きな痛手です。しかし、魅力的な地元企業を紹介できれば「地元で就職しよう」と考える人も出てくるかもしれません。
このような企業の採用に関わる記事を将来的には書いていきたいと考えています。単なる求人情報ではなく、企業の魅力やそこで働く意義、さらには地域に根差した仕事をする価値を伝えられるような記事をつくりたいですね。
また、会社員を続けたくても続けられず、現在の仕事に行き詰まりを感じている人たちに向けて、新しい可能性を示せるような採用系の記事を執筆する仕事もしていきたいと思っています。
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ー最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。
自分のキャリアは、一見すると変わった道筋を歩んできたかもしれません。技術職で培った経験、そしてゼロから積み上げてきた法律系の知識。これらを通じて複雑な技術や法律の世界を分かりやすく伝えられるのが私の強みです。この過程で身につけた「徹底的に調べる力」や「好奇心」が今のライターとしての基盤を作っています。
今後も地域に根差しながら、さらなるスキルアップを目指し、将来的には法人化も視野に入れ、より多くの方々のお役に立てる存在になりたいと考えています。
地域の魅力を発信したい方、キャリアの新たな可能性を探っている方、あるいは複雑な技術や法律を分かりやすく伝えたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒にお仕事をさせていただけませんか?
地域と企業、さらには個人の架け橋となれるようライターとしても貢献していきます。どうぞ、お気軽にご連絡ください。