【闇】無料生成AIリートン.が隠した真意
皆さんこんにちは。今回は、生成AIサービス「wrtn.」の無料提供の裏側にある潜在的な課題について深く掘り下げていきます。
リートン.って?
リートン.は、韓国発の急成長中のAIサービス企業です。リートンテクノロジーズという会社が運営しており、日本では(株)リートンテクノロジーズジャパンがサービス提供元となっています。「あなたの初めてのAIエージェント」をキャッチコピーに、画像生成やChatGPTなどのLLMを無料で使えるAIサービスを展開しています。
驚くべきことに、リートンはわずか3年で全世界370万ユーザーを獲得し、ChatGPTやClaude、さらには画像生成AIなど、通常有料でしか使えないAIモデルまでも、全て無料で提供しています。この急成長と破格のサービス内容は、AIの専門家でさえ首をかしげるほどです。
便利な機能は他にもあります。例えばオリジナルのAIチャットボットが作れたり、最新の情報にも対応できるAI検索機能まで備えています。これらの機能は、生成AIに詳しい人でさえ「なぜこれほどまでに」と疑問を抱かずにはいられない、驚異的なサービス内容です。
しかし、ここで大きな疑問が浮かびます。なぜこれほどまでの高度なサービスが、全て無料で提供されているのでしょうか?
調査を進めるうちに、私は思わぬ事実に遭遇しました。リートンの急成長の裏には、巨額の資金調達と、AIの「大衆化」という野心的な戦略が隠されていたのです。
最新の情報によると、リートンは2024年6月に28.4億円もの資金を調達し、累計調達額は驚異の50億円に達しています。さらに、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルまでもが、この急成長企業に注目し始めているのです。
この記事では、リートンの魅力的な無料サービスの実態と、その背後に潜む驚くべき事実を明らかにしていきます。あなたが知っているリートン.は、実は巨大な野望を秘めた企業の、ほんの表面に過ぎないかもしれません。
公式が伝える無料の理由
1.Webに記載の無料の理由
リートンの公式サイト(https://wrtn.jp/about)には、以下のような説明があります:
2.noteでの公式説明
リートン公式noteにも、ほぼ同様の説明が丁寧に書かれています。これらを読んで「素晴らしい会社だ。よし、使ってみよう」と思った人は、少し注意が必要かもしれません。
なぜなら、ここには無料である「理由」が実は書かれていないのです。
「え?でも生成AIを身近に利用できる環境作りとサービスの提供を目指しているから無料なんでしょ?」と思われるかもしれません。しかし、これは無料である理由ではなく、無料にしている目的や、目指す理念です。
目的と理由は違います。リートンはこれらを巧みにすり替えているように見えます。そこに違和感を感じないでしょうか?
本来、企業が説明すべき無料である理由とは、無料なのにどうやって儲けているのか、または儲けを生み出す仕組みをどうするかということです。リートンを運営しているリートンテクノロジーズは、慈善団体ではなく企業です。ビジネスを行うこと自体は正しい行為です。
それにも関わらず、その重要な要素を伝えずに「今後も無料だから安心してね」と言うのは、本来の意図を隠しているように感じられます。
リートン.の営業戦略はどこに?!
スマホから読めない規約とポリシー
スマホの設定画面には、利用規約とプライバシーポリシーがしっかりあります。一見すると安心感がありますね。
しかし、実際に利用規約を開いてみると...
プライバシーポリシーはどうでしょうか。
興味深いことに、MY設定の画面は黒背景に白文字でしっかりと見やすいのに、なぜか規約とポリシーだけが極端に読みづらくなっています。これは単なる偶然でしょうか、それとも...
「広告・宣伝情報の受信に同意」トグル
もう一つ気になる点があります。MY設定画面に、さりげなく「広告・宣伝情報に同意」というトグルがあるのです。これをオンにすれば同意したことになりますが、なぜわざわざこのようなトグルが存在するのでしょうか。
現時点では特に広告は表示されていませんが、この設定の存在は、今後何かが変わる可能性を示唆しているようにも見えます。
そして、調査を進めるうちに、私はリートンの戦略の核心に迫る驚くべき事実を発見しました。この発見は、私たちが普段何気なく使用しているAIサービスの本質を根本から覆すかもしれません。
ここからさらに深く掘り下げていくと、リートンの真の姿が明らかになっていきます。それは、単なる便利なツールを超えた、AIの未来を左右する可能性を秘めた存在なのです。
個人情報の取り扱い
まずは、プライバシーポリシーをしっかりと調査していきます。特に、個人情報の取り扱いについてはリスクを検討する必要がありそうです。
下記は、実際のリートン.のプライバシーポリシー抜粋ですが、長いので飛ばしていただいても下で解説をしています。
起こりうるリスクと状況の可能性
広範な個人情報の収集:
ユーザーの基本情報(メールアドレス、氏名など)だけでなく、行動履歴やデバイス情報まで幅広く収集される可能性があります。これは、AIサービスの改善や個別化に使用される可能性があります。データの多目的利用:
収集された情報は、サービス提供だけでなく、広告配信や統計データの作成など、様々な目的で利用される可能性があります。第三者との情報共有:
特定の条件下で、ユーザーの情報が第三者と共有される可能性があります。これには、法的要請や事業譲渡などの場合が含まれます。行動追跡:
Google Analyticsの使用により、ユーザーのサイト上での行動が詳細に追跡・分析される可能性があります。データを用いたサービス改善:
収集された情報を用いて、AIモデルの改善や新機能の開発が行われる可能性があります。広告ターゲティング:
ユーザーの情報や利用パターンに基づいて、パーソナライズされた広告が提供される可能性があります。長期的なデータ保持:
ユーザーの情報が長期間保持され、将来的な利用や分析に使用される可能性があります。プライバシー設定の制限:
一部の機能(例:Cookie)を無効にすると、サービスの一部が利用できなくなる可能性があります。データセキュリティリスク:
個人情報の保護に努めているものの、データ漏洩などのセキュリティリスクは完全には排除できません。利用者の同意の重要性:
多くの場合、ユーザーが明示的に同意することで、これらのデータ収集や利用が可能になります。
このように、多くのリスクを秘めていることがわかりました。しかしながらこれらの点は、無料のAIサービスを利用する際のトレードオフとして考えられます。ユーザーは便利なAIツールを無料で使用できる一方で、自身の情報がサービス提供者によって様々な形で利用される可能性があることを理解する必要があります。
ビジネスの方向性として、無料で提供するために広告やデータ収集は決して悪いことではありません。しかし、公式で伝える無料の理由としては、このような情報を伝えずあえて隠しているようにも見え、そこに疑問を感じるのです。
ユーザーには、公正な判断を下せる場を設ける必要があります。
それは、無料である理由をしっかりとユーザーに伝え、その上で利用させるべきだと私は思うのです。
考えられる潜在的なリスクシナリオ
この「プライバシーポリシー」の内容と、「広告受信の同意」のトグルから、以下のような点が特に懸念される、あるいは怖いと感じられる可能性があります:
広範な情報収集:
単なる利用登録情報だけでなく、IPアドレスや端末情報、利用ログなど、ユーザーの行動を詳細に追跡できる情報まで収集されます。これにより、ユーザーのオンライン活動が細かく把握される可能性があります。曖昧な利用目的:
「その他、ユーザーから個別に承諾いただいた目的」という項目があり、将来的に予期せぬ目的で情報が使用される可能性があります。第三者への情報提供:
法令に基づく場合や、ユーザーの同意を得た場合に第三者へ情報提供する可能性があります。これにより、ユーザーの情報が予想外の範囲に広がる可能性があります。しかも、その第三者の組織については、一切の記載がありません。Google Analyticsの使用:
ユーザーの行動が詳細に分析され、そのデータがGoogle社にも共有される可能性があります。長期的なデータ保持:
データの保持期間が明確に示されていないため、情報が長期間保持され続ける可能性があります。免責事項:
ユーザーの過失によるSNSでの情報拡散や、入力情報の正確性に関して会社側が責任を負わないとしています。これにより、情報漏洩や誤情報の扱いに関してユーザーが不利な立場に置かれる可能性があります。個人情報の管理責任:
セキュリティ対策は講じるとしていますが、完全な安全性は保証されていません。データ漏洩のリスクが常に存在します。プライバシー設定の制限:
Cookieの使用を拒否すると、サービスの一部が利用できなくなる可能性があり、ユーザーが自身のプライバシーを守るか、サービスを十分に利用するかの選択を強いられます。規約変更の可能性:
プライバシーポリシーが予告なく変更される可能性があり、ユーザーが気づかないうちに自身の情報の扱われ方が変わる可能性があります。ただし、法令上ユーザーの同意が必要となるような内容の変更の場合は、ユーザーの同意を得るようです。包括的な同意:
サービスを利用する時点で、これらの広範な情報収集と利用に同意したとみなされる可能性があります。
あくまでも可能性の話ではありますが、「広告・宣伝情報に同意」のオンをすることで、ただ広告がアプリに表示されるだけではないことにまで同意したことになるかもしれないということです。第三者にあなたの居場所やチャット履歴が見られてしまうことだってあるかも知れません。なぜなら、あなたは同意にオンをしているから。利用規約には、「ユーザーが同意したとき」とはっきりと書かれています。
もしも、情報を入手した第三者が悪徳業者だったらどうなるでしょうか。
そして、一番怖いのはこのポリシーを予告なく改変し、それを通知しないと書いていることです。これは通常ありえません。
ポリシーの変更内容は、全て内容を確認し同意してからでなければサービスを使えないようにするのが、通常の仕組みとなっています。
リートン.の場合はそれを隠しています。
これらの点は、ユーザーのプライバシーや個人情報の自己コントロール権に関わる重要な懸念事項です。無料のAIサービスを利用する際、ユーザーは自身の情報がどのように扱われるかを十分に理解し、そのリスクを認識する必要があります。
Perplexityから分かる検索AIの広告価値と、リートンとの比較
リートン.にも検索機能がありますが、同じく生成AI検索サービスを提供するperplexityは、2024年第4四半期から広告を掲載することを明らかにしました。CNBCの報道によると、Perplexityは広告主向けのピッチデッキを配布しており、そこでは以下のような情報が記載されています:
アプリのダウンロード数が200万回を超えている
月間2億3000万件以上のクエリに回答している
米国でのクエリ数が過去1年で8倍に増加している
CPM(1000インプレッション当たりのコスト)を50ドル(約7300円)以上に設定予定
これは、一般的なディスプレイ広告のCPM(デスクトップで約2.50ドル、モバイル動画で約11.10ドル)と比較して非常に高い価格設定であり、生成AIによる広告の価値の高さを示しています。
一方、リートンは現時点で明示的な広告掲載を行っていませんが、「広告・宣伝情報の受信に同意」のトグルの存在や、プライバシーポリシーの内容から、将来的に広告モデルを導入する可能性が示唆されています。
リートンとPerplexityの主な違いは以下の点にあります:
広告モデルの明確さ:Perplexityは2024年第4四半期からの広告導入を公に宣言し、具体的な価格設定も明らかにしています。一方、リートンは現時点で明確な宣言をしていません(少なくとも無料の理由では伝えていません)。
収益共有モデル:Perplexityは2024年7月にパブリッシャー向けの収益共有プログラムを開始しました。ユーザーの質問に対する回答で記事を引用し広告収入を得た場合、その一部をパブリッシャーに還元するモデルです。リートンは現時点でこのような仕組みを明らかにしていません。
サービスの範囲:リートンとPerplexityは共にチャットAIと検索機能を提供していますが、リートンは加えて画像生成AIなど、より幅広いAIサービスを展開しています。
ユーザー層:Perplexityは、ユーザーの80%以上が大学卒業者で、30%が「上級管理職」、65%が医療、法律、ソフトウェア工学などの「高収入のホワイトカラー職」であるとしています。リートンのユーザー層の詳細は不明です。
料金体系:Perplexityは無料版と有料版を提供していますが、リートンは現時点ですべてのサービスを無料で提供しています。
透明性:Perplexityは広告モデルと有料/無料プランについて明確に説明していますが、リートンは「完全無料」を強調しつつ、将来的な収益化の可能性については詳細を明かしていません。
これらの違いを踏まえつつ、両サービスともに高度なAI技術を活用したチャットと検索機能を提供している点は共通しています。ただし、その仕組みや情報提供の方法には違いがある可能性があります。
高価値を生み出す新しい仕組み
Perplexityの収益共有モデルは、AIアシスト検索の新しいビジネスモデルとして注目されています。リートンも将来的に同様のモデルを採用する可能性がありますが、現時点では明確ではありません。
いずれの場合も、ユーザーの質問に対し、AIが恣意的な回答をする可能性があることは注意が必要です。特に、広告収入を得るために特定の情報源や商品を優先的に表示する可能性があります。ただし、Perplexityの有料プランではこのリスクが軽減される可能性があります。
ユーザーは、これらのサービスを利用する際に、提供される情報の出所や潜在的なバイアスに注意を払う必要があります。また、サービス提供者の収益モデルとプライバシーポリシーを十分に理解した上で利用することが重要です。
いずれの場合も、ユーザーの質問に対し、AIが恣意的な回答をする可能性があることは注意が必要です。ただし、Perplexityの有料プランではこのリスクが軽減される可能性があります。
分かりやすく例えれば、あなたが新しいレストランを探しているとします。通常なら、友人や家族に意見を聞いたり、オンラインレビューを読んだりするでしょう。しかし、今はAI搭載の「究極のレストランガイド」アプリを使っているとしましょう。
表面上の仕組み: アプリはあなたの好みや場所を考慮して、最適なレストランを提案します。
裏側の可能性:
このアプリは特定のレストランチェーンと提携しているかもしれません。
提案されるレストランは、アプリに高額の広告費を支払っている店舗かもしれません。
アプリは、あなたの好みに合うふりをしながら、実は提携店を優先的に推薦しているかもしれません。
結果: アプリは確かにレストランを提案しますが、それが本当にあなたにとって最良の選択肢とは限りません。むしろ、アプリの収益を最大化するための選択肢かもしれません。
リートンの場合: 同様に、リートンのAI検索機能も、表面上はユーザーの質問に答えているように見えますが、裏側では:
特定のウェブサイトや情報源を優先的に引用し、それらのサイトからより多くの広告収入を得ている可能性。
ユーザーの興味や傾向に基づいて、特定の製品やサービスに誘導するような情報を提供している可能性。
企業や団体と提携し、それらに有利な情報や見解を優先的に提示している可能性。
これらの可能性は、直接的な証拠がなくても、ビジネスモデルとテクノロジーの性質上、今後十分に考えられるシナリオです。ユーザーとしては、このような潜在的なバイアスの存在を意識し、常に批判的思考を持って情報を評価することが重要です。
韓国での現在と狙いの真実
調査を進める中で、窓の杜のWebでリートンテクノロジーズジャパンのken Kim(金起漢)氏の興味深い発言を見つけました。
「計画の一つがプラグインです。通販や旅行、美容などの検索サイトと提携し、旅行プランやグルメ情報などを生成AIが提案してくれます。昨年、韓国ではそれぞれの分野の大手20社と連携させていただき、当社のモバイルアプリで利用できるようになっています。アプリからサービスに送客することで、お金を動かせるようになると考えています。現在は実証実験中ですが、今年から本格的にビジネス化していく予定です」(金氏)」(窓の杜Webより)
この発言は、リートンの将来的なビジネスモデルと収益化戦略を示唆しています。一方で、このアプローチにはユーザーにとっていくつかの利点も考えられます:
パーソナライズされた推薦:ユーザーの興味や好みに基づいた、より関連性の高い情報や提案を受けられる可能性があります。
ワンストップサービス:旅行計画や商品検索など、複数のサービスを一つのプラットフォームで利用できる利便性。
AIによる効率的な情報整理:膨大な情報の中から、ユーザーにとって最適な選択肢を素早く提示できる可能性。
最新の情報へのアクセス:提携企業との連携により、常に最新の情報やサービスにアクセスできる可能性。
無料でのハイクオリティなAIサービス継続:広告収入などにより、ユーザーは引き続き無料で高度なAIサービスを利用できる可能性。
しかしながら、これらの利点と同時に、先述したような潜在的なリスクや懸念事項も存在します。ユーザーの個人情報やプライバシーの取り扱い、提供される情報の中立性などについては、引き続き注意が必要です。
結論として、リートンは革新的で便利なAIサービスを提供する一方で、そのビジネスモデルには慎重な検討が必要な側面もあります。ユーザーは、サービスの利便性とプライバシーリスクのバランスを十分に理解した上で、自身のニーズに合わせて判断することが重要です。リートンとの対話が、将来的に広告や特定の情報に誘導される可能性があることを認識しつつ、そのサービスの利点も活用していくことが賢明なアプローチと言えるでしょう。
(安全で公平なAIを使いたい人は、検索広告の機能がないAIを選ぶのも一つの方法です。)