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【魚介×ビストロ】メニューの読めないお店と出会った日。

渋谷の喧騒から少し離れた奥渋にただずむビストロ。

訪れた日は、例年と比べると少し肌寒い、春時雨の降る夜だった。

階段を1段降りると目に入るのは、
暖かみのあるオレンジ色のランプと深い青緑色の壁紙が印象的な店内。

外から見た店内の様子

店を訪れたのは午後8時。
平日のちょうど中日だというのに、店内は満席で賑わいを見せる。

友人を待つ間、ドリンクメニューを眺める。

ドリンクメニュー

メニューは、「ビール」「ワイン」「ノンアルコール」のみのシンプルなラインナップ。

一杯目は必ずビールと決まっている。
日本人らしくとりあえず馴染みのある名前を選ぼうとする自分を恥じながら「琥珀エビス」を頼むと、定員さんより「今日サイクリック・ビア・ファームしかないんです」と一言。

サイクリック・ビア・ファーム
XINO XINO/ チャノチャノ

恐る恐る注文してみると、透き通ったグリーンイエローの液体がおしゃれなワイングラスに注がれてやってきた。

まずは香りを、そしてひとくち口に含んでみると、
ふわっと柑橘系の香りと酸味が口の中で広がった。
ビールというより日向夏のサワーに近いかもしれない。

「サイクリック・ビア・ファーム」は、バルセロナの中心街から北東へ少し離れた住宅街の一角にある小さなブルワリーのことらしい。
今回いただいた「チャノチャノ」や定番のベルギービール以外にも旬のフルーツやスパイスを漬け込んだり色んなクラフトビールを作っているそう。

すっきりとした味わいに、思わず一気に飲み干してしまいそうになるのを抑えながら、慌ててお食事メニューに目を移す。

食事メニュー

思わず目が点になる。
モホベルデ?チュリアン?タプナード? 
食材の名前はわかっても何の料理なのかがわからない。

頭が?でいっぱいになっている私に助け舟を出すように、シェフが気さくに話しかけてくれた。
丁寧に一つ一つメニューを説明してもらい、おすすめも教えてもらった上で、「冷菜」と「温菜」を一品ずつ頼んで料理が来るのを待つ。


カンパチのスモーク、アボカドとハリッサのチュリアン

一品目は、アボカドと燻した生のカンパチを
マヨネーズと「ハリッサ」と呼ばれる、香辛料をベースにクミンやコリアンダーなどのスパイスを組み合わせた調味料で和えた冷菜。

ピリッとした辛味が舌を刺激した後、マヨネーズのほのかな酸味とクリーミーさが柔和してくれる、そんな一品に思わず頬が緩んでしまう。


ビールの最後の一滴を飲み干す頃、待ち構えていたように次の料理が運ばれてくる。

マダコのソテー、赤ワインソース

2品目はこの店の人気メニューという、マッシュポテトの上にソテーされたマダコを散りばめ、赤ワインソースで仕上げた温菜だ。

プリプリで歯応えのあるマダコと、なめらかなマッシュポテトの食感を楽しみながら、この料理によく合うと教えてもらった少し重めの赤ワインを喉に流し込んだ。



お腹もそこそこ満たされた頃、
シェフから「もう一品、メインはいかがですか?」とお声がけが。

実は、厨房の様子を眺めながらずっと気になっていたのがある。
パイに包んで焼き上げるなにかの料理。

メニューを見るとそれだと思われる料理を発見した。

「ホタテとホワイトアスパラとモッツァレラのパイ包み」

普通なら迷わず最後の一品として頼みたいところだが、すぐに踏み切れない理由がある。

私も友人も、いわゆる“貝類”が食べられないのだ。
ホタテももちろんダメ。
でもパイ包みはどうしても諦めきれない。

悩んだ結果、ダメ元でシェフに相談してみる。
「パイ包みがどうしても食べたいけど貝がたべられなくて・・・」

少しの間、メニューと睨めっこしていたシェフ。「それなら白身魚だとどうですか?」

二つ返事でお願いした。
快く引き受けてくれたシェフに感謝だ。

白身魚とホワイトアスパラとモッツァレラのパイ包み

最後の品を堪能するために、私は店員さんオススメの赤ワインを、友人はオレンジワインを注文しておいた。

パイ包みは食べやすいよう、丁寧に二等分に取り分けてくれていた。
サクサクのパイの中で、凝縮された白身魚の旨みがジュワッと広がる。
ホワイトアスパラとモッツァレラとの相性も抜群だ。

平日の何でもない日に味わった贅沢を噛み締めながら、暫し友人との談笑を楽しんだ。

デザートメニュー

お口直しにと、デザートメニューを貰った。

「エスドラゴン」「パン・デ・ロー」
可愛らしい言葉が並ぶ。

やはりメニューを読んでも何のデザートなのかまったく想像つかないが、その不明瞭さが今はむしろワクワクさせてくれる。

1番人気は、ポルトガルの伝統的なお菓子でカステラにも少し似たメレンゲ仕立ての「パン・デ・ロー」。
元々季節に合わせた限定メニューだったが、お客さんからの根強い人気に定番メニューへとなったらしい。

残念ながら、
あまりにもお腹がいっぱいでデザートは断念。
その代わり次回は必ずデザートを食べにくるとシェフと約束しお店を後にした。


いつも約2ヶ月に一度、
季節に合わせてメニューもガラッと変わるそう。

次は新緑が深まる頃に訪れたい。



📍魚介とワイン PEZ(ペス)
 〒150-0042
 東京都渋谷区宇田川町37−14 渋谷 B1F
 予算 ¥6,000-¥7,999


















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