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ナイアガラ・トライアングル「Niagara Triangle vol.2」(1982)

今月のレコード・コレクターズはナイアガラ・トライアングル「Niagara Triangle vol.2」の特集らしいですね。
1982年3月リリース。今では考えらない大滝詠一佐野元春杉真理の3人が一堂に会したコラボレーションアルバム。

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大滝がナイアガラ、佐野がエピック、杉がCBSと各々所属レーベルが違うのですが、同じソニーグループということで実現したもの。
当時大滝詠一は前年に世紀の名作「A LONG VACATION」を発表し、乗りに乗っていた時期。かたや佐野元春、杉真理は売り出し中の若手シンガー。しかしこの三者三様の音楽性の違いが、まさにいい形のトライアングルとなってます。
本作は3人が4曲ずつ持ち寄ったもの。大滝詠一がフィル・スペクター・サウンド佐野元春がロックンロールやビートルズ杉真理がマージービート・サウンド、それぞれ多大な影響を受けたと思われますが、見事に自分たちの音楽に消化してますね。

①「A面で恋をして」のみ大滝詠一作で、3人がヴォーカルを取るもの。シングルカットもされ、かつCMソングにもなりましたが、そのCMに出演していたモデルがスキャンダルに巻き込まれ、あえなくCMは1週間でお蔵入りとなったようです。
パーカッションを鳴らしまくり、エコーを思いっきりかけたサウンド。これぞ大滝サウンドの決定打という感じです。
 ♪ クラクションを鳴らして 今夜君を奪いにゆくよ ♪ By 杉真理
    ♪ 夜明けまでドライブブブ~ 今夜 君を帰さないさ ♪ By 佐野元春
2人のキャラクターの違いをよく現している歌詞ですね。

②~④・⑨が佐野元春ワールド。②「彼女はデリケート」、名曲です。
この軽快なドラムが大好きなんです。エンディングのバスドラの連打も素敵ですし、そのエンディングの「ツイスト&シャウト」を交えたコーラスもいかしてます。
余談ですが、彼のデビュー曲「アンジェリーナ」のイントロは震えが来るほどかっこいいですね。

③「Bye Bye C-Boy」のベースラインは明らかに後期ビートルズにおけるポール・マッカートニーのベースラインですね。こうしたアットホームな佐野さんもいいですね。

⑤~⑧が杉真理ワールド。佐野ワールドから一転、⑤「ガールフレンド」が始まりますが、いや~、完全にマージービートですね。60年代ポップスファンには堪りません。

⑦「夢みる渚」。題名からして60年代ポップス臭い(笑)。
この曲、通常の男性アーチストが歌ったら気持ち悪いでしょうね。杉真理の声は永遠の青年声ですからぴったりくるんだと思います。個人的には彼のポップスセンスが大好きです。

そして⑩~⑬が大滝詠一ワールド。なんの説明も要らないでしょう。皆名曲です。特に大好きな曲が⑬「ハートじかけのオレンジ」。これもシングルカットされたと思います。
イントロの変な音のパーカッション、間奏のホーン、コーラスの多重録音、大滝詠一のアレンジが冴え渡ります。ちょっとコミカルタッチな曲が、松本隆の詞とぴったりで、また彼のヴォーカルに合ってますね。

やっぱりいい。それぞれ3人が個性的な音楽性を十分発揮した名盤。この直後に佐野元春はブレイクしましたね。佐野元春の前夜祭的なアルバムともいえます。

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