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Christopher Cross「Another Page」(1983)

連休最終日はちょっとまったりしてしまうような、このアルバムは如何でしょうか?

あの偉大なるデビューアルバムChristopher Crossがいきなりモンスター級のメガヒットを記録してしまったクリストファー・クロス。素晴らしいことではあるものの、ファーストが完成されたものだっただけに、ある意味不幸なことなのですが、彼は今もマイペースに音楽活動をしております。

そのファーストから3年の歳月をかけて制作されたのが、本作。多くのリスナーは、そのちょっとおとなしめなさサウンドにがっかりしたのではないでしょうか?

前作以上にスゴイメンバーが集結してます。

Jay Graydon(Guitar), Steve Lukather(Guitar), Michael Omartian(Keyboards), Abraham Laboriel(Bass), Mike Porcaro(Bass), Jeff Porcaro(Drums), Steve Gadd(Drums), Lenny Castro(Percussion), Paulinho Da Costa(Percussion), Tom Scott(Saxophone), Ernie Watts(Saxophone), JD Souther(Vocals), Karla Bonoff(Vocals), Art Garfunkel(Vocals), Carl Wilson(Vocals), Don Henley(Vocals), Michael McDonald(Vocals)・・・

じっくり作り込みをしたのでしょう。あえて苦言を呈するとすれば、これらミュージシャンの個性が生かされていないような気がします(どの曲がジェフが叩いているのか、よく聴き取れません)。また美しすぎるクリストファーのヴォーカルも、ともすると気持ちのいいBGMと化してしまっているような・・・。
楽曲自体もファーストと比べて大人しめですね。テキサス出身の彼が、本当にウエストコーストミュージック化してしまったといってもいいかもしれません。
しかしこれらの事象は、私にとっては逆に言うと、非常に味わい深いということを意味します。

このアルバムからは①「No Time for Talk」、⑤「Think of Laura」、⑥「All Right」の3曲がシングルカットされました。洋楽を熱心に聴き始めた頃、⑥「All Right」が流行っていたのをよく覚えてます。
ただ私はこの「All Right」より「Think of Laura」が大好きです。繊細なアレンジと優しいメロディ。ちょっとほろ苦いメロディが堪りません。クリストファーのハイトーンヴォーカルがこの曲には合ってますね。

またこのアルバムには地味ながらも味わい深い曲が多く収録されてます。
③「What Am I Supposed to Believe」はカーラ・ボノフとのデュエットで、まるでカーラのような楽曲に仕上がってます。気のせいかクリストファーの声もカーラに似ているような・・・。

デュエットといえば②「Baby Says No」では、なんとビーチボーイズのカール・ウィルソンがコーラスで参加してます。
カール・ウィルソンはビーチボーイズのなかでは「天使の歌声」を持つといわれた人物。そのカールが美しいコーラスを聞かせます(ただクレジットを見なければ、私にはカールとは分かりませんでした^^)。
クリストファーとカールは、いろいろなセッションで顔を合わせてますね。

そしてもう1人の「天使の歌声」、アート・ガーファンクルですが、なんと彼もこのアルバムに参加してます。それは⑦「Talking in My Sleep」です。
サビで一緒に歌っているのがアートでしょうかね。非常に優しく、暖かみのあるコーラス。贅沢ですね。

④「Deal 'Em Again」と⑧「Nature of the Game」ではドン・ヘンリーとJ.D.サウザーがコーラスで参加してます(グレン・フライは参加してませんね)。
「Deal 'Em Again」は軽快なウエストコーストロックで、ギターソロはジェイ・グレイドン(!)。「ジェイらしいなあ~」というほどのプレイではありませんが、伸びのある爽やかなギターソロと美しいコーラスはいいですね。

このアルバムを聴いたことがない方が、掲記メンバーが参加していることを聞けば、食指がそそられるでしょう。非常に地味なアルバムなんですが、聴きどころは結構あります。特に③~⑥の流れはAORファンにとっては堪らないでしょうね。
誠実な人柄が伝わってくるようなアルバムです。

皆様、よい連休最終日をお過ごしくださいませ。


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