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Sergio Mendes「Encanto」(2008)

セルジオ・メンデスが亡くなれた。
ちょっと洋楽好きな方であれば、60年代にブラジリアン・ポップスを開拓された方、80年代洋楽ファンなら「Never Gonna Let You Go」のヒットの方、そして2000年代以降の洋楽ファンなら、ヒップホップと融合したようなボッサの開拓者…と、実は様々な顔を持つセルメン。やっぱり凄い方だったんだろうなあと思います。

我々エイティーズ世代、そして私にとっては、セルジオ・メンデスといえば1983年の大ヒット曲「Never Gonna Let You Go(愛をもう一度)」があまりにも有名。ヴォーカルはJoe Pizzulo。
当時あまりの曲の良さに感動した覚えがあります。

個人的には2008年に発表した本作がリアルタイムで購入した1枚です。
いつも日曜日の夕方はJ-WAVEの「サウージ・サウダージ」をよく聴いていたのですが、そこでこのアルバムの曲が流れていたのがきっかけで、アルバムを購入。一発で気に入ってしまいました。

本作はセルメンの前作「タイムレス」の第二弾的アルバム。前作は10年振りの新作だったのですが、「Never Gonna Let You Go」の路線とは全く違う「ブラジル・ミーツ・ヒップホップ」といったかなりアグレッシブな内容。その立役者はプロデューサーでもあるWill.I.Am。今回、またも彼が参加し、かつボサノバのスタンダードナンバーもカバーしてます。

そのオープニングがバカラックの①「The Look Of Love」。セルジオ・メンデス&ブラジル'66の60年代の大ヒット曲ですね。それをファーギーが軽快に歌ってます。往年のヒット曲をラップとボサノバを融合させたような楽曲に仕上げたセルメンの力量に脱帽です。

③「Water of March」はアントニオ・カルロス・ジョビンの作品ですが、完全にサンバ調に仕上げており、原曲のイメージはあまり感じられません。これもご機嫌ですね~。

ちょっとクールな⑤「Somewhere in the Hills」もジョビン作。これはボサノバ・タッチです。ヴォーカルはナタリー・コール。こんな曲は夕暮れから夜にかけて聴いていてもいいかもしれません。ホルンがクールタッチでいいです。

そしてJ-WAVEから流れてきた曲というのが心地よい⑥「Lugar Comum」。
しかもその曲のヴォーカルはドリカムの吉田美和!!
吉田美和とセルメン?? 不思議な取り合わせですが、これがまたいい!
この曲は日本盤にのみ収録されてますが、ブラジリアン・ポップスと吉田美和の歌う日本語が見事にマッチした楽曲となってます。これだけでも聴く価値はあります。

本作にはジョビンの作品は4曲収録されてます。その最後の曲が⑫「Água de Beber(おいしい水)」。そしてWill.I.Amがヒップホップなテイストをちりばめてます。でもセルメンのローズは心地いいですね。

如何だったでしょうか?
もし昔のイメージのセルメンしかご存じなかったとしたら、結構イメージが変わったのではないでしょうか?
かなりのイノベーター、そんなイメージのセルメンです。
音楽を貪欲に追及していった方…、それは晩年になっても変わらなかったんでしょうね。R.I.P.

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