Journey「Frontiers」(1983)
こちらのnoteでは60~70年代の洋楽を中心にアルバムレビューをしておりますが、そもそも私のエイティーズ(前半)オンタイム世代の王道のバンド・アルバムをあまり紹介していないことに気付き、その王道のバンドってどこかな~と考えていたのですが、やはりその筆頭格はジャーニーではないでしょうか。
私が洋楽を聴き始めた頃、既に前作「Escape」が発表され、シングル「Open Arms」が大ヒットしておりました。そして新作として、オンタイムで聴いていたのが本作。もちろん発売日と同時にLPを購入しました。
まだ中学生にはアルバムを通して聴く習慣がなかったのですが、それでもAsiaのファーストやBeatlesの作品なんかはアルバム単位で聴いてました。そして本作もそういったなかの一枚です。
未だにそうなのですが、正直このアルバムは「Escape」ほどには好きになれません。ライヴ一発録り的なライヴ感覚とハードな曲が多いこのアルバムは、中学生の私にはちょっとつらく、今聴き返しても、「あれっ、こんな曲入っていたのか」っていう程、全部が全部、記憶に残っている訳ではありません(よく聴いていたんですけどね)。もちろんいい曲も詰まってますし、あくまでも「Escape」と比較してのことですけど。
プロデュースは「Escape」と同様、マイク・ストーンとケヴィン・エルソン。アメリカ・ビルボードチャートでは9週連続第2位でプラチナディスクを獲得しております。ちなみにこの当時のアルバムNo.1はあのマイケル・ジャクソンの「スリラー」です。このモンスター・アルバムがなければ、確実に本作はNo.1となっていたでしょうね。
このアルバム、我々世代は①「Separate Ways (Worlds Apart)」がすべてですね。あのイントロに懐かしさを覚える50代洋楽ファンは数知れず。あの曲でロックの醍醐味を知った方がも多いでしょう。
当時、ギターのリフがこんなにもかっこいいのか~ と思ったものです。
中学時代、私の周りにはニール・ショーンを真似たエアーギタリストが多数存在しておりましたよ…。
この曲、1983年の彼等の伝説の武道館ライヴでの演奏が忘れられません。もちろん行ったわけではなく、この演奏の音源がFMラジオでオンエアされた際にエアチェックしたものを繰り返し聴いていたんです。今では「Greatest Hits Live」というCDでこの時の演奏が聴けますが、エンディングでスティーヴ・ペリーが「ココロカラドウモアリガトウ、トーキョー!!!」と叫ぶんです。当時は何を言っているのか分からなかったのですが(笑)。
その時の貴重な映像がなんとYouTubeにアップされてましたので添付しておきます。エンディングの鳥肌モノのスティーヴ・ペリーの絶叫をご堪能下さい。
当時のシングルカット曲は①、②「Send Her My Love」(最高23位)、④「After the Fall」(最高23位)、⑤「Faithfully」(最高12位)。
②「Send Her My Love」や③はジャーニー流アメリカンロック・ポップス。ポップスというと違和感がありますが、中庸ロック的な楽曲。
⑤「Faithfully」は「Open Arms」とよく比べられるバラードです。これも名曲としてよく挙げられますね。
しかし本作の良さは、個人的にはこうしたシングルカットされた楽曲にあるのではなく、①や更にハードなロックにあると思ってます。
例えば③「Chain Reaction」の激しいギターのリフ。スティーヴ・ペリーのヴォーカルもシャウト気味です。重々しいリズムもメロディもかっこいい!!!
この当時の、今となっては恥ずかしいMTV向けPVを発見しました。なんと全員なぜかタキシード姿。いや~、恥ずかしい(笑)。このPV、全く見た記憶がありませんね。
そういえばベースのロス・ヴァロリー、当時から非常に地味な印象だったのですが、このPVでも弾いている彼の細長いベース、すごく印象的でしたね。でもロス、実は唯一の創業メンバーなんですよね。
⑧「Back Talk」、この曲を好きだという人は少ないかもしれませんが、ドラム愛好家の私としては、スティーヴ・スミス(Ds)が作曲にも参加したこの曲は見逃すわけにはいきません。
とてもヘビーでリズミカルな曲。もともとスティーヴ・スミスはジャズ・ミュージシャンでバークリー音楽大学にも通っていた人物。ヴィニー・カリウタとは同窓とのこと。
タイトル曲⑨「Frontiers」にも作曲でスティーヴ・スミスは参加してます。私の大好きなドラマーのひとりです。
本作は「Escape」より楽曲の粒は落ちますが、私がオンタイムで夢中になった大事なアルバムです。