Norah Jones「Come Away With Me」(2002)
遅ればせながら、私は先週金曜日から夏休みに入っております。基本、音楽三昧な生活になると思いますが…。
そんな中、面白い動画チャンネルを発見しました。パーカッショニストのペッカーさんが中心になって開設された「Fourth Wave Records Factory」というチャンネルで、70年代後半~80年代前半の、あの時代のミュージシャンの裏話や著作権の話等々、どれも興味深い雑談が繰り広げられてます。番組内でも話されてますが、亡くなっていかれるミュージシャンもいる中、生き字引的にあの時代の良さ、あの時代の音楽の良さを伝えていくことで、音楽の魅力を永遠のものにしていきたい、そんなコンセプトかと思います。ご興味あられる方は是非チェックしてみて下さい。ちなみに超微力ながらも本ブログも、もともとそういうコンセプトで始めたものです。
さて、唐突感ありますが(笑)、ノラ・ジョーンズの衝撃のデビューアルバム。このアルバムが発表されてから、もう22年が経つんですね。もうノラも45歳。年が経つのは早いものです。
フォークとジャズをうまくミックスさせたようなサウンド・プロダクションと、ノラのハスキーヴォイスが非常に魅力的な1枚です。彼女がラヴィ・シャンカールの娘であるということと、このアルバムが大ヒットを記録したこととは関係ありません。それくらい魅力が詰まったアルバムですね。
ノラは3歳の時に両親が離婚し、母親の故郷、テキサス州へ引っ越し、そこで幼少期を過ごします。決して恵まれた環境でもなかったんですよね。そこで様々な音楽体験をし、デビュー直前にジェシー・ハリス、リー・アレクサンダー、ダン・リーザーとバンドを結成。このメンバーを中心として本作は収録されました。
ノラ・ジョーンズの名を世に知らしめた超名曲の①「Don't Know Why」。
バンドのメンバーだったジェシー・ハリスが作った屈指の名曲ですが、ジェシー自身ももともとはそれ以前にソロとして活動していた実力者。彼が作ったクールな楽曲を、またハスキーヴォイスなノラが表現豊かに歌ったことが勝因かと思います。フォーキーな楽曲なのに、どこかジャージーに聞こえるのは、ノラのヴォーカル力に拠るところが大きいかなと。
こちらは当時付き合っていたリー・アレクサンダー作の②「Seven Years」。
ジェシーじゃなくてリーとお付き合いしていたんですね(笑)。確かに2006年にノラが結成したバンド、リトル・ウィリーズもジェシーは参加せず、リーが中心となっておりましたね。
独特の寂寥感を感じさせる1曲。特にイントロが…、渋い楽曲です。間奏のナショナル・ギターのソロの音色もいぶし銀的。
こちらもリーの作品の④「Feelin' the Same Way」。
やっぱりリーとの相性がいいのか、この曲もすごくノラの声質に合ってます。クールな楽曲、ときおりノスタルジックなアメリカンの音、フォーキーでカントリー風味な味付けが堪りません。個人的にはこの微妙な塩梅が、今のノラにはあまり感じられないのが残念ですね。
ジェシー・ハリスの楽曲をもう1曲ご紹介しておきます。それが⑪「One Flight Down」。ノラが奏でるピアノの音色がどこか物悲しい。そしてノラのヴォーカルもそんな感情をよく表してます。リーの曲もいいけど、やっぱりジェシーの曲もいいなあ。
ジャズ畑のSam Yahelが弾く、控えめなハモンドオルガンも効果的です。
⑭「The Nearness of You」は1938年にホーギー・カーマイケルが作曲したスタンダードナンバー。グレン・ミラー・オーケストラのバージョンが有名。
ジャズ・ピアニストの一面も持つノラらしいナンバー。ステージではピアノの弾き語りで歌うのでしょうか。非常にリリカルなピアノが美しい。そうえいばノラはビル・エヴァンスからの影響も大きいようです。このピアノはビル・エヴァンスに通じるクールなものを感じさせます。夏の夜にじっくり聴きたい1曲です。
ノラ・ジョーンズは今年発表された新作「Visions」まで聴いてますが、永くじっくり聴いているのはこのファーストとセカンドくらいかもしれません。以降のノラは彼女なりにマイペースな音楽活動ですが、私の(鈍い)琴線にはあまり触れませんねぇ。
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