ケガ、病気、介護に身辺整理……公的な保障だけでは不足するかもしれない老後のリスク②
■リスクに備えるには
それぞれのリスクに備えるための方法をご紹介します。
○【病気・ケガのリスク】
*公的医療保険で備える
まずは公的医療保険での備えです。保険適用の治療であれば、原則3割負担で済みますが、70歳から74歳の人は2割、75歳以上の人は後期高齢者医療制度に切り替わり1割負担となります。ただし、70歳以上の現役並みの所得者(年収約370万円以上)は3割負担となります。
また、1カ月間の医療費が所得に応じて設定されている自己負担限度額を超えた場合、高額療養費として返ってくる制度があるため、医療費が高額になった場合に対処できます。
ただし、健康保険扱いとならないものは、高額療養費の対象とはなりません。具体的には差額ベッド代、食事代、先進医療の技術代などです。この場合、全額自己負担となるので、別途備えが必要です。
*民間の医療保険で備える
このように、公的医療保険で備えきれない場合は、民間の医療保険を利用するとよいでしょう。
医療保険には掛け捨てのものと貯蓄性のあるものがあります。掛け捨ての保険は、保険料は低く設定されていますが、満期保険金や解約返戻金がありません。医療保険の役割と貯蓄性も求めるなら「貯蓄型」の医療保険に加入するとよいでしょう。ただ、保険料は割高になるので、家計を圧迫しない程度の保険料に設定しましょう。
○【認知症のリスク】
*公的医療保険・介護保険で備える
認知症は、治療の場合は公的医療保険、介護認定を受けた場合は公的介護保険が利用できます。ただし、すべて公的な保険で賄えるわけではありません。次項でも説明しますが、介護保険制度は介護費用として現金が支給されるわけではなく、介護サービスが提供される制度です。
また、介護度によって、受けられるサービスに限度額が設けられているので、それ以上のサービスを受けたい場合は自己負担で賄わなければなりません。認知症患者は、身体的には問題がなかったり、介護状態は軽いけれど、認知症であるために介護の必要経費が多くかかったりするケースがあります。そのため、公的保険では足りない分を民間の保険で備える必要性は高くなります。そこで登場したのが、認知症に特化した民間の保険である「認知症保険」です。
*認知症保険で備える
認知症保険は、認知症と診断されたとき、給付金や一時金などの保険金を受け取ることができる保険です。保険商品によっては、医師に認知症と診断され、さらに公的介護保険の要介護認定を受けることが条件となっている場合もあります。認知症保険は、原則として認知症になる前に加入する必要があります。
*個人賠償責任保険で備える
認知症の場合、思わぬ行動を取ることによって、他人やものに損害を与えることがあります。
こうした損害に備えるためには、損害保険会社などで取り扱っている「個人賠償責任保険」が有効です。個人賠償責任保険は、他者にケガをさせたり、器物を損壊したりした場合の賠償金を補償するための保険です。単体で加入できるものもありますが、多くは火災保険や自動車保険の特約として加入できます。
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