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『朝と夕の犯罪 神倉駅前交番狩野雷太の推理』降田天(角川文庫)

かつて、お父さんと賽銭泥棒などをしながら車中暮らしをしていた血のつながらない兄弟の再会と狂言誘拐が第一部。第二部はその八年後、児童置き去り事件を発端に、過去の狂言誘拐が本当のところ何だったのか、暴かれていく。ううーん。虐待の連鎖。事件ものったら、それが多いよな。つい、そうなってしまうのよな。それだけ興味を引く話であるから、これも、ぐいぐい読まされた。「知りたい」という人間の欲望は強いそうですよ。でも、新味がないと、新人賞は獲れません。こういう謎も、考えつきません。

本筋の謎とは別に、狩野雷太という元刑事のキャラが、謎。話者は過去に一緒に仕事をした女刑事であり、狩野のことを鬱陶しく思っている。狩野が主人公の短篇集が出ているが、どうだろう。読むかなあ・・・?

モチーフの一つとして、ドン・キホーテの話があった。騎士道物語の読みすぎで、自分を騎士だと思い込み、世の中の不正を正す旅に出る人。幻想は幻想のままでいいという願い。ドン・キホーテは読もうと思って買っているのだけど、一巻の初めの初めで挫折したままだ。


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